今回は、BYODとCOPEの共通点や相違点について説明します。これらを理解すれば、どの方法が自分の会社に合っているのか判断できるでしょう。

プラス面だけではないBYOD

 BYOD(Bring Your Own Device)という用語は、既に広く浸透しています。まずは、BYODという考え方が生まれた背景を振り返ります。

 近年、ITコンシューマライゼーションが進み、企業が貸与するデバイスより、高機能で利用しやすい個人向けデバイスが多く提供されるようになりました。その代表例がiPhoneやiPadです。そのような中、従業員としては、企業で貸与されるデバイスよりもいつも使っている自分のデバイスで業務をしたいというニーズが生まれてきました。

 一方、企業側も、従業員が自身の端末を業務にも利用すれば、通信料金やデバイス本体の費用負担が削減でき、コスト削減につながるのではないかと注目しました。

 そのような流れを受け、個人のデバイスを会社に持ち込み、そのデバイスで業務を行うBYODという考えが生まれました。BYODのメリットとして、導入した企業からは以下のようなことが挙げられています(図1)。

図1●BYODのメリット(iPhone・iPad企業導入ガイドライン、p.18から引用)
図1●BYODのメリット(iPhone・iPad企業導入ガイドライン、p.18から引用)
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 ただ、注目されがちなコスト低減だけをとらえ、BYODの仕組みを導入すると、従業員にとっては利用しづらい仕組みとなり、利用が広がらない結果が生まれがちです。BYOD導入には、通信費用やデバイスなどのコスト削減だけではなく、上記にあるようなメリットを踏まえ、ワークスタイルの変革による従業員の生産性の向上、ワークライフバランスの実現による従業員の満足度向上やモチベーション効果にも目を向けることが重要です。