米ナイアンティックがiOS向けの「ポケモンGO」に、アップルのARフレームワーク「ARKit」を活用した新機能投入した。一方、グーグルは新しいARフレームワーク「ARCore」の普及を推し進めている。ARは2018年にどのような展開を見せるだろうか。
「ポケモンGO」にも活用され始めたARKit
2017年に大きな動きがあった分野の1つに、拡張現実(AR)が挙げられるだろう。新しいARプラットフォームが相次いで登場したからだ。
その口火を切ったのは米アップルである。同社は2017年6月に実施した開発者イベント「WWDC 2017」で、iOS用のARアプリを開発しやすくするフレームワーク「ARKit」を発表。従来、ARアプリの開発者自身がAR関連の機能を組み込む必要があったのだが、ARKitによってそうした手間が必要なくなり、より多くの開発者が本格的なARアプリの開発を手掛けやすくなったのだ。
iOS 11は2017年9月から配信開始されているほか、2017年に発売されたiPhone 8やiPhone 8 Plus、そしてiPhone Xにも標準で搭載されている。それゆえ現在は、多くのiPhoneやiPadでARKit対応アプリが利用できるようになっており、App Storeを見てもその数は増加傾向にある。
なかでもARKitの存在感を高める出来事となったのが、2017年末の12月20日、ナイアンティックがARを活用した人気ゲーム「ポケモンGO」に、ARKitを用いた新機能「AR+」を導入したことである。従来のポケモンGOのAR機能はあくまで簡易的なもので、スマートフォンの向きに応じてモンスターが現れる程度のものであった。だがAR+では、バトルシーンでモンスターのほうに向かうとアプリ画面でも実際に近づくことができ、近づき過ぎると逃げてしまうなど、よりリアルなAR表現を実現しているのだ。
新たな表現によって遊び方の幅が広がる一方、スマートフォンを見ながらの移動が必要になったことから、場所に配慮してプレイしないと危険性が増すなどの懸念もある。だがARKitによって、ARのけん引役となっているポケモンGOが進化し、再び注目を集めるきっかけになったことは確かであり、今後ARKitの利用がさらに広がることが期待される。