2015年12月1日、LINEの「LINE NEWS」と、ヤフーの「Yahoo!ニュース個人」が、相次いで新たな取り組みを発表した。情報を発信するメディアにプラットフォームを開放するLINE NEWSと、個人の書き手に対する支援を強化するYahoo!ニュース個人。それぞれの取り組みには違いがあるものの、方向性や狙いは近いものがあるようだ。

LINE NEWSのプラットフォームをメディアに解放

 年の瀬も迫った12月1日、ニュースサービスに関連する発表が立て続けになされた。1つは、LINEが提供するニュースサービス「LINE NEWS」に関する発表だ。

 LINE NEWSはサービス開始当初、専用のアプリとしてサービスが提供されていた。しかしながらその後に提供された、ニュースをダイジェスト形式で届ける「LINE NEWS DIGEST」、そして「動物萌え」「野郎メシ」など、細分化された特定の分野に関する情報をピックアップする「LINE NEWSマガジン」などはLINEのアプリ上で展開。専用の公式アカウントを登録するだけで利用できる仕組みをとっている。

 アプリよりもLINEのアカウントを重視したのには、LINEのプラットフォーム戦略の変化があるようだ。従来、LINEは集客力の強いLINEアプリから、LINEが提供する他のアプリへと誘導することでプラットフォーム拡大を進めてきた。だが現在、アプリマーケットが飽和傾向にあり、新たなアプリを配信してもそれを継続的に利用してもらうのが難しくなっている。加えてLINEアプリの進化などによって、ゲームなど一部コンテンツを除けば、LINE上の仕組みを通じて幅広いサービスの提供ができるようになっている。そうしたことからLINEは最近、アプリではなくLINEの公式アカウントを生かしたプラットフォーム展開へと大きく舵を切っているのだ。

 そのLINE NEWSが新たな施策として発表したのが、LINEの公式アカウントを用いてニュースを配信する仕組みを外部のメディアにも開放する「LINE Account-media Platform」だ(写真1)。メディアはこの仕組みを用いることで、各メディアのアカウントを登録したユーザーに対し、メディア側が見せたい記事を独自にピックアップしてダイジェスト形式で配信できる。

写真1●LINEは公式アカウントを用いたニュース配信の仕組みを、外部のメディアにも開放。アカウント登録したユーザーに対し、自社独自の編成で記事を配信できるようになる。写真は12月1日のLINE NEWSに関する記者発表会より(筆者撮影)
写真1●LINEは公式アカウントを用いたニュース配信の仕組みを、外部のメディアにも開放。アカウント登録したユーザーに対し、自社独自の編成で記事を配信できるようになる。写真は12月1日のLINE NEWSに関する記者発表会より(筆者撮影)
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 従来のLINE NEWSダイジェストやLINE NEWSマガジンでは、記事を提供するのはメディア側であるものの、そこに掲載される記事やその掲載順を選ぶのはあくまでLINE側であり、メディア側がどのニュースを優先的に届けるかを選ぶことはできない。そこでLINE上に各メディア専用の公式アカウントを提供し、そのアカウント上ではメディア自身が記事掲載を選択する権利を持たせることによって、その問題を解消するというのがLINE側の狙いのようだ。