ディー・エヌ・エー(DeNA)のキュレーションメディアの1つで、医療情報を扱う「WELQ」に掲載されていた記事に、盗用や情報の誤りなどが多数存在していたと指摘され、大きな騒動となっている。DeNAはキュレーション事業を今後の成長分野の1つに位置付け、力を入れていたが、なぜこのような事態に陥ったのか。そしてDeNAは、信用を大きく失ったキュレーション事業を再生させられるのだろうか。

医療情報を扱いながら、不正確さや盗用などで問題に

 年の瀬に入って年末年始の準備を迎える中、インターネット業界で大きな騒動が発生した。DeNAの「WELQ」に端を発した、同社のキュレーションメディアに関する問題である。

 DeNAは、インターネット上にあるコンテンツを分かりやすくまとめて提供するキュレーションメディア事業を成長戦略の1つとして位置付け、2014年に住宅関連のキュレーションメディアを展開するiemoと、ファッション関連のキュレーションメディア「MERY」を運営するペロリを買収。2015年にはキュレーションメディアプラットフォームの「DeNA Palette」を立ち上げ、新たに複数のキュレーションメディアを立ち上げたり、他のキュレーションメディアを買収したりするなどして、規模拡大を進めてきた(写真1)。

写真1●DeNAは、2014年に複数のキュレーションメディアを買収して以降、2015年の「DeNA Palette」プラットフォーム立ち上げなど、キュレーションメディア事業に力を入れるようになった。写真は2015年4月6日のキュレーションプラットフォーム事業新事業構想発表会より(筆者撮影)
写真1●DeNAは、2014年に複数のキュレーションメディアを買収して以降、2015年の「DeNA Palette」プラットフォーム立ち上げなど、キュレーションメディア事業に力を入れるようになった。写真は2015年4月6日のキュレーションプラットフォーム事業新事業構想発表会より(筆者撮影)
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 そうしたDeNAのキュレーションメディアの1つが、医療・ヘルスケアに関連した情報を扱うWELQである。WELQはDeNA Paletteの中でも存在感を高めてきており、主力のMERYに続くキュレーションメディアとなっていたようだ。

 しかしながら最近、WELQに掲載された情報に関して、「内容が不正確である」「他のサイトからの盗用がなされている」などの指摘がブログやSNSなどで相次いでなされたことから、サイト内容や運営体制を批判する動きが急速に活発になっていた。WELQは医療情報を扱うサイトながら、誤った情報を多くの人の目に触れる形で公開していたことから、深刻な影響を与えるとして批判を集めたのだ。

 そうしたことからDeNAは、2016年11月29日にWELQの記事公開を停止した。他のキュレーションメディアに関しても、同様に盗用や誤りが多く存在するとの指摘が多数あったため、12月1日にはDeNA代表取締役兼CEOの守安功氏から、一連の事態に対するお詫びと説明が公表されるとともに、MERYを除く8つのサイトの記事公開も停止した。

 子会社のペロリが運営しており、体制が異なるとして唯一残ったMERYに関しても、DeNA側が精査した結果、約8割の記事が削除されるに至り、12月7日には全ての記事が非公開となるに至っている。また同日、DeNAは一連のキュレーションメディア事業に関する問題で謝罪会見を実施。会見には守安氏に加え、DeNAの創業者でもある取締役会長の南場智子氏も登壇して謝罪をしたものの、問題となったWELQなどを統括している執行役員の村田マリ氏は姿を見せなかった(写真2)。

写真2●一連の問題を受け、DeNAは12月7日に謝罪会見を実施。守安氏だけでなく、創業者の南場氏も登壇して謝罪したが、WELQなどを統括していた村田氏は現れなかった。写真は同会見より(筆者撮影)
写真2●一連の問題を受け、DeNAは12月7日に謝罪会見を実施。守安氏だけでなく、創業者の南場氏も登壇して謝罪したが、WELQなどを統括していた村田氏は現れなかった。写真は同会見より(筆者撮影)
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