2017年の日本におけるスマートフォンアプリの動向を振り返ると、中国製アプリの人気が急速に高まった印象を強く受ける。特にゲームやカメラ関連などのジャンルで、中国系アプリベンダーの人気が高まっているようだ。なぜ今、それらの分野で中国製アプリの人気が高まっているのだろうか。

「アズールレーン」筆頭に人気が高まる中国発のゲーム

 いよいよ12月を迎え、2017年を振り返る時期に差し掛かった。そこで今回は、本連載の主なテーマであるスマートフォンアプリの動向について振り返ってみたい。筆者が2017年のアプリ動向を見ていて気になったのが、中国製のアプリが日本でも人気を高めていることだ。

 日本で注目されている中国製のアプリと聞くと、多くの人はテンセントのコミュニケーションアプリ「WeChat」を思い出すかもしれない。確かにWeChatは、中国でQRコードを活用した決済サービス「WeChat Pay」が急速に広がったことで、日本でも大きな注目を集めている。だが日本でWeChatが積極的に利用されるようになったかというとそうではなく、WeChat Payの日本展開も、あくまで訪日中国人の需要を見込んだものに限られている。

 では一体、どのような分野で中国製アプリの人気が高まっているのかというと、1つはゲームである。なかでも最近、特に注目を集めているのが「アズールレーン」であろう。

 これは中国の企業が開発した「碧蓝航线」というゲーム。中国系のYostarという企業が日本で運営しているスマートフォンゲームで、日本での名称がアズールレーンである。可愛い女の子に擬人化した戦艦を育てて戦う、シューティングゲームとストラテジーゲームの要素を合わせた内容となっている。第二次世界大戦に登場する戦艦をモチーフとしているとみられ、日本の戦艦のキャラクターが敵として登場するなど、日本人にとっては複雑な印象を抱く部分も散見される。それでもなお擬人化キャラクターの魅力や育成する楽しさなどから、人気が急拡大しているようだ。

 2017年9月の配信開始当初、アズールレーンはそれほど話題とはならなかったものの、口コミなどで急速に人気を高め、11月には登録数が300万に達したと発表されている。筆者が確認した11月25日時点では、Google Playの売り上げランキングの3位にまで登り詰めており、人気の高さを見て取ることができるだろう。

 日本で大きな実績を収めている中国製のゲームは、アズールレーンだけではない。同日のGoogle Playの売り上げランキングでは、アズールレーンのほかに「THE KING OF FIGHTERS '98ULTIMATE MATCH Online」(OURPALM)、「放置少女 百花繚乱の萌姫たち」(GleeGames)、「クラッシュ オブ キングス」(Elex Wireless)、「三国天武」(6waves)が上位50位以内にランクインしている。

 さらにGoogle Playの「ベスト オブ 2017」におけるゲーム部門の候補を見ても、任天堂の「Super Mario Run」など日本製のゲームが多く並ぶなかにあって、アズールレーンのほかにNetEaseの「陰陽師」が入っている。いかに中国製のゲームが急速に日本で存在感を高めているか理解できるのではないだろうか。

「東京ゲームショウ2017」においても、スマートフォン関連のゲームでは中国企業の積極的な展示やプロモーションが非常に目立っていた。写真は同イベントより(筆者撮影)
「東京ゲームショウ2017」においても、スマートフォン関連のゲームでは中国企業の積極的な展示やプロモーションが非常に目立っていた。写真は同イベントより(筆者撮影)
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