アマゾンジャパンは2015年11月19日、同社のプライム会員向け新サービスとして、注文してから1時間で商品が届く「Prime Now」を提供すると発表。楽天も8月より同様のサービス「楽びん!」を展開するなど、国内でも「オンデマンドEC」に向けた取り組みが本格化しつつある。国内におけるオンデマンドECの可能性と課題を考えてみよう。

プライム会員向けに最短1時間で商品が届くサービスを提供

 Eコマース大手の米アマゾンは最近、「Amazonプライム」の会員獲得に力を入れている(写真1)。日本国内では、プライム会員になるために年3900円支払う必要があるが、会員になれば様々な特典が得られる。通常は有料となる「お急ぎ便」などの利用が無料となるほか、タイムセールに通常より30分早く参加できるなど、買い物をする上で大きなメリットを得ることができる。

写真1●アマゾンはプライム会員の獲得に力を入れている。日本でも50%の伸びを記録しているという。写真はアマゾンジャパンが9月24日に開催した、プライム・ビデオ/fire TVに関する記者発表会より(筆者撮影)
写真1●アマゾンはプライム会員の獲得に力を入れている。日本でも50%の伸びを記録しているという。写真はアマゾンジャパンが9月24日に開催した、プライム・ビデオ/fire TVに関する記者発表会より(筆者撮影)
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 だが最近ではそうした買い物でのメリットだけでなく、多くの映像作品が見放題になる「プライム・ビデオ」や、100万曲以上の楽曲が聴き放題となる「Prime Music」など、プライム会員向けのコンテンツサービスも国内向けに次々と展開。プライム会員になっていれば「Netfrix」や「Apple Music」などに別途料金を支払うことなく、同様のサービスを利用できることから、買い物だけでなく総合コンテンツサービスとしても注目を集めつつあるようだ。

 そのアマゾンが11月19日、日本向けに新たなプライム会員向けサービス「Prime Now」を開始した。これは既に米国で2014年12月より提供されているもので、簡単に言ってしまえば、頼んだ商品が短時間で届くEコマースサービスである。専用のスマートフォンアプリから注文し、1回当たり890円を支払うことで、午前6時から深夜0時までに注文した商品が1時間以内に到着する。追加料金を支払わない場合でも、午前6時から深夜0時の間であれば、2時間以内に商品を届けてくれるという(注文は24時間可能)。

 1回当たりの購入額が2500円以上と制限はあるものの、それを超える額であれば商品1つから注文可能。またEコマース大手ならではの品ぞろえを生かし、飲食品や日用品だけでなく、家電や本、おもちゃなど約1万8000点もの商品がPrime Nowに対応しているのも、大きなポイントと言えるだろう。

 なおサービス開始当初の対象エリアは、東京の世田谷区・目黒区全域、そして渋谷区・品川区・大田区・港区・杉並区・新宿区の一部となっており、そのうち一部地域は2時間での配送になるとのこと。エリアは順次拡大する予定だとしている。