位置情報やAR(拡張現実)をゲームに取り入れた「Ingress」「ポケモンGO」が相次いでヒットした米ナイアンティック。今年はIngressだけでなく、ポケモンGOでも大規模なイベントを実施して注目された。同社はいま何に力を入れ、今度どのような取り組みを進めようとしているのだろうか。Ingressのイベントが実施された大阪で、同社のアジア統括本部長である川島優志氏に聞いた。

プレーヤーの熱量を世界に広げ国際交流を生む

 「Ingress」「ポケモンGO」などが相次いでヒットし、注目を集めている米ナイアンティック。最近ではゲーム内だけでなく、リアルでもイベントを実施し、多くの集客を実現していることから関心が高まっている。

 特にIngressは、2つの陣営同士で争う世界規模のイベント「XM Anomary」のほか、自治体などと協力してその地域を回って楽しむスタンプラリー的なイベント「Mission Day」などを積極的に展開。日本でも何度か実施されており、その都度多数のエージェント(Ingressのプレーヤー)が参加して多くの集客効果をもたらしたことから、注目されるに至った。

 Ingressのイベントの盛り上がりは過去にも紹介しているが、2017年11月4日に実施されたXM Anomary「EXO5」では、大阪が会場の1つとなった。約1年ぶりに日本でXM Anomaryが開かれたこともあって、ナイアンティックの発表では約6000人が参加したという。イベントの舞台では、あらゆる場所でIngressをプレイするエージェントの様子を見ることができた。

11月4日に大阪で実施されたIngressのXM Anomaryイベント「EXO5」。エンライテンド(緑)とレジスタンス(青)に分かれて戦う。今回もエンライテンドの勝利となった。写真は同イベントにて(筆者撮影)
11月4日に大阪で実施されたIngressのXM Anomaryイベント「EXO5」。エンライテンド(緑)とレジスタンス(青)に分かれて戦う。今回もエンライテンドの勝利となった。写真は同イベントにて(筆者撮影)
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 ナイアンティックのアジア統括本部長である川島氏によると、Ingressでは各地域のエージェントや自治体などが協力してイベントを企画しているという。特に日本はエージェントの活動が活発で、「どの国と比べても積極的に参加している」と川島氏は話している。

 そうしたエージェントの熱心さは、東日本大震災の被災地支援に向けたイベントの実施や集客に結び付き、社会的な影響ももたらした。こうしたことから、ナイアンティックもゲームがもたらす影響力の大きさを知ったという。そこで同社では、そうした熱心な活動が世界的なエージェント同士のつながりをもたらすと考え、最近は台湾や韓国など、他の国々でのイベント実施に力を入れてきたとのことだ。