ビジネスシーンで欠かすことのできないマイクロソフトのOfficeシリーズ。最新の「Office 2016」では、共同編集など様々な新機能が提供されているが、モバイルという視点で注目されるのは、iOSやAndroidなど、他社プラットフォームへの対応を急速に積極化させていることだ。パソコン向けでは高いシェアを誇るOfficeシリーズだが、マルチプラットフォーム戦略を拡大する狙いはどこにあるのだろうか。

新たに共同編集機能などを搭載した「Office 2016」

 2015年、Windows 10の提供を開始したばかりのマイクロソフトだが、もう1つの主力製品であるオフィススイート「Office」に関しても、最新版の「Office 2016」の提供を9月23日より順次始めた。そのOffice 2016に関する詳細な情報を伝えるべく、日本マイクロソフトは9月29日に記者向けのプレスカンファレンスを実施(写真1)。Office 2016の新機能や販売形態などについて詳細に説明した。

写真1●日本マイクロソフトは9月29日、「Office 2016」の新機能や国内向けのラインアップを発表した(筆者撮影)
写真1●日本マイクロソフトは9月29日、「Office 2016」の新機能や国内向けのラインアップを発表した(筆者撮影)
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 Office 2016の新機能としてアピールされたのが、同じ文書ファイルを複数ユーザーが同時に編集できる、共同編集機能だ。クラウド上にある同じファイルの中身を複数人で共有して同時に編集できるほか、Skypeで同時にコミュニケーションを取り合うことで、遠隔地同士での作業を効率よく進められるようになる。マイクロソフトは近年テレワークの支援に力を入れており、そうした機能の導入はその一環と言えよう。

 そしてもう1つの新機能は、Officeの各ツールにおけるユーザーの利用状況を記録し、必要としている情報を見つけ出してくれる「Office Delve」。デモでは過去の売り上げ予測データをOffice Delveで探し出し、グラフにして企画書に挿入する様子が紹介された。

 こうしたOffice 2016の新機能を見るに、共同編集機能はようやくGoogle Appsに追いついたという印象はあるものの、機能面での充実度は高まっていると感じる。だが筆者の視点からすると、より注目すべき点はモバイルに向けた対応である。

 マイクロソフトのモバイルに向けた取り組みと言えば、注目されているのはやはり、現在開発中の「Windows 10 Mobile」であろう。特にOfficeと関連する部分では、スマートフォンにディスプレイやキーボードなどを接続し、デスクトップパソコンのように扱える「Continuum」機能で、パソコンと同じ感覚で作業できる点が期待されている。