最近、スマートホームの中心を担うハブとなるデバイスや、プラットフォームの開発に取り組む企業が世界各地で起きているようだ。各社がスマートホームに目を付け始めたのはなぜか。そして今後、各社の競争はどのように広がっていくのだろうか。

シャープがRoBoHoNの技術をスマートホームに活用

 国内最大級の家電・ITに関連する総合見本市イベント「CEATEC JAPAN 2016」が2016年10月4日より開催された。近年業績不振などから国内の家電・ITメーカーの撤退が相次いでいたCEATECだが、今年は最近注目が高まっているIoT(Internet of Things、モノのインターネット)を主体とし、B2B向けの展示を主体とするなど大幅なリニューアルを図っている。それゆえ各社の展示も従来主流だったテレビなどではなく、IoTに関連する製品や技術が多くを占めているようだ。

 そのCEATEC開催に合わせて、前日の10月3日に発表会を実施したのがシャープである。同社は昨年のCEATECに合わせ、人工知能(AI)とIoTを組み合わせ、モノの人工知能化を進める「AIoT」というビジョンを発表。そうした製品の1つとして、対話によるコミュニケーションが可能なロボット型携帯電話「RoBoHoN」を発表し、大きな話題となったことは記憶に新しい。

 シャープはAIoTに関連する技術をRoBoHoN以外の様々な家電機器へ導入しているが、そのメリットを享受できるのは、対応する製品を購入した人だけに限られる。そこでシャープは今回のCEATECに合わせ、AIoTを家電だけでなく、スマートホームの取り組みにも拡大することを発表。それを実現するための機器として、「ホームアシスタント」を発表している(写真1)。

写真1●シャープがAIoTの新たな取り組みとして発表した「ホームアシスタント」。RoBoHoNのように親しみのある会話をしながら、家電機器などを操作できるデバイスだ。写真は「CEATEC JAPAN 2016」のシャープブースより(筆者撮影)
写真1●シャープがAIoTの新たな取り組みとして発表した「ホームアシスタント」。RoBoHoNのように親しみのある会話をしながら、家電機器などを操作できるデバイスだ。写真は「CEATEC JAPAN 2016」のシャープブースより(筆者撮影)
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 ホームアシスタントは、ユーザーと対話しながら様々な家電機器を操作する、スマートホームのハブとなる機器だ。RoBoHoNなどに用いられているシャープのAIoTクラウドを活用している。RoBoHoNのコミュニケーション機能はそのままに、可動部分や携帯電話の部分を取り去り、家電の制御に特化したデバイスとなるようだ。ちなみに家電の制御には、リモコンで一般的に用いられる赤外線のほか、Wi-Fiにも対応することで、幅広い機器への対応を進めるとしている。

 2017年前半のホームアシスタント商用化を目指して開発を進めているとのことで、価格は「数万円の前半程度」になるとしている。主として赤外線を用いるため複数の部屋の家電を制御するのは難しく、比較的安価な価格設定で、複数台設置してもらうことを見込んでいるようだ。