KDDIと沖縄セルラーは、2017年9月2日から8日にかけて、沖縄県那覇市でIoT向けLTE規格「LTE-M」(Cat-M1)を活用し、繁華街に設置したごみ箱のごみの量を遠隔監視する「IoTごみ箱」の実証実験を実施した。この実証実験から、IoTをビジネスにつなげるための方策と課題を探る。

LTE-Mの実証実験で「ごみ箱」を提供

 IoTに関する取り組みが急増している昨今、とりわけIoTに力を入れる姿勢を見せているのがKDDIである。8月2日に、IoT向けネットワークを提供するベンチャー企業のソラコムを連結子会社化したことが、その姿勢を象徴していると言えよう。

 そのKDDIは9月2日から8日にかけ、連結子会社である沖縄セルラーの協力の下、沖縄県那覇市での「IoTごみ箱」に関する実証実験を実施。9月7日には那覇市内で、その概要に関する記者向けの説明会を開いた。

 実証実験では、IoTセンサーを取り付けたごみ箱を那覇市内の4箇所に設置。ごみの集積量を自動的にサーバーに通知することで、ごみ箱のごみの量をリアルタイムに把握し、最適なタイミングで回収する。ごみ箱の上部にごみの量を測るための音波センサーと温度センサーを設置し、それらのセンサーから得た情報をシングルボードコンピューター「Raspberry Pi」を使って処理する。処理したデータは、LTE-M対応通信モジュールを使ってサーバーに送信する。

那覇市内の4箇所に設置された「IoTごみ箱」。センサーでごみの量を検知し、ごみの量が一定に達した時点で適宜回収する仕組みだ。写真は9月7日のKDDI・沖縄セルラー「IoTを活用したごみ箱の実証実験」記者説明会より(筆者撮影)
那覇市内の4箇所に設置された「IoTごみ箱」。センサーでごみの量を検知し、ごみの量が一定に達した時点で適宜回収する仕組みだ。写真は9月7日のKDDI・沖縄セルラー「IoTを活用したごみ箱の実証実験」記者説明会より(筆者撮影)
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 LTE-Mは、低消費電力・長距離伝送の特徴を持つIoT向け通信技術「LPWA」(Low Power Wide Area)の1つ。LPWAはいくつかの方式が存在するが、LTE-MはLTEのネットワークを用いた仕組みであり、LTEと同等の広いエリアでの利用が可能なのに加え、同じLTE網を用いたIoT向け通信技術「NB-IoT」と比べ広い帯域幅を利用することから、通信速度が最大1Mbps程度とLPWAとしては高速という特徴を持つ。さらに、ハンドオーバーにも対応し移動中の利用にも対応できる。