ドイツ・ベルリンで2017年9月1〜6日に開催された「IFA 2017」では、人工知能(AI)を活用した音声アシスタントを搭載したデバイスが多く登場し、注目を集めていた。「Alexa」で先行する米アマゾン・ドット・コムと追う米グーグル、そして両社からライセンスを受けて対応デバイスを提供するメーカーの思惑はどこにあるのだろうか。

スマートフォンにも勢力を拡大するAlexa

 9月1日(現地時間)からドイツ・ベルリンでIT・家電の総合見本市イベント「IFA 2017」が始まった。各社はIFAに合わせて様々な新製品を発表した。筆者も2016年に引き続き、IFAの会場を訪れ取材を進めていたのだが、今年明らかに多く見られるようになったと感じるのがスマートスピーカーである。

 スマートスピーカーはここ数年来IT業界では大きな注目を集めている存在だ。従来はアマゾンのAlexaやグーグルの「Googleアシスタント」など、音声アシスタントを自社で開発し、自社のスマートスピーカーに搭載して提供することが多かった。だが今年に入って、アマゾンやグーグルから音声アシスタントのライセンスを受けて開発した製品が徐々に見られるようになった。今回のIFAではアマゾンやグーグル以外の多くの企業が、スマートスピーカーなどの音声アシスタント搭載機種を発表・展示するに至っている。

 現在、この分野で主導権を握っているのがアマゾンだ。アマゾンはAlexaのライセンスを積極的に進めており、アマゾン以外の企業が開発したAlexa対応スマートスピーカーが登場しつつあるのに加え、最近ではスマートフォンにも採用されるケースが増えている。

 既にファーウェイやHTCはAlexa対応のスマートフォンを投入している。今回のIFAでは新たに、レノボがタブレットを接続してAlexaが利用できるスピーカー型のドック「Home Assistant Pack」や、傘下のモトローラ・モビリティからAlexaに対応したスマートフォン「Moto X(第4世代)」を発表。スマートフォンやタブレットに強みを持つグーグルの領域を侵しながら、一層勢力を広げようとしている様子を見て取ることができる。

レノボは、同社のタブレットを接続することでAlexaが使える「Home Assistant Pack」など、「Alexa」に対応した製品を発表している。写真はIFA 2017のレノボブースより(筆者撮影)
レノボは、同社のタブレットを接続することでAlexaが使える「Home Assistant Pack」など、「Alexa」に対応した製品を発表している。写真はIFA 2017のレノボブースより(筆者撮影)
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 加えてアマゾンは9月1日、ライバルとも言えるマイクロソフトの音声アシスタント「Cortana」と、Alexaとの相互連携を発表している。アマゾンが規模拡大に向け、手を緩めることなく次々と新たな手を打ち出している様子を見て取ることができよう。