楽天は2015年8月19日、Android向けアプリストア「楽天アプリ市場」を開始した。楽天スーパーポイントや楽天モバイルとの連携を図りつつ、ストア側の手数料を25%に減らし開発者の取り分を増やすなどしてストアの充実を図る方針のようだ。こうした施策をAndroid標準のGoogle Playにはない強みとしたい考えだが、同時にAndroid標準ではないアプリマーケットならではのリスクも抱えることとなる。

楽天が独自のアプリストア事業を開始

図1●楽天が新たに提供を開始した「楽天アプリ市場」
図1●楽天が新たに提供を開始した「楽天アプリ市場」
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 既存サービスのアプリ展開やモバイルに向けた新サービス、さらには仮想移動体通信事業者としてモバイル通信事業にも参入するなど、グループ全体で多方面からスマートフォンに対する取り組みを拡大している楽天。同社がスマートフォンに向けた新たな施策として発表したのが「楽天アプリ市場」だ(図1)。

 楽天アプリ市場は、Androidに向けた楽天オリジナルのアプリストアだ。あらかじめ専用のアプリをインストールしておくことで、Google Playなどと同様、ストア上で配信されているアプリを探してダウンロードができる。サービス開始当初は180社、360のアプリを扱うが、今後アプリ数をさらに増やしていく予定とのことだ。

 100万を超えるアプリ数を誇るGoogle Playと比べれば、楽天アプリ市場の規模は決して大きなものとはいえない。それだけに楽天は、楽天アプリ市場の活性化のためいくつかの施策を取っている。

 ユーザー側に向けた施策として注目されるのは決済の部分だ。楽天アプリ市場は、アプリの課金決済に楽天の決済の仕組みを利用することで、楽天のサービス利用者が決済しやすい環境を整えている。楽天のポイントプログラム「楽天スーパーポイント」とも連携しており、アプリの課金にポイントが利用できるほか、有料決済した場合はポイントが付与する仕組みも設けられている。

 そして開発者に向けた施策としては、ストア側が取る手数料の低減が挙げられるだろう。App StoreやGoogle Playなど大手アプリストアの手数料は通常30%となっているが、楽天アプリストアはそれを25%に軽減、10%をユーザーへポイント還元し、15%を楽天の取り分とした。併せて、楽天の顧客基盤を活かしたアプリの露出機会の増加などのメリットを訴求し、アプリ数の増加と開発者数の増加につなげようとしている。