ハードウエアベンチャーのCerevoが2016年8月2日に発表した「SIM CHANGER デルタ」は、スマートフォンから最大4枚のSIMをを切り替えながら利用できるようにするデバイス。その中にはNTTドコモの「ポータブルSIM」という技術が取り入れられている。なぜNTTドコモは他社のSIMも使える、エッジの効いたデバイスの開発に協力したのだろうか。
複数のSIMを切り替えて使える「SIM CHANGER デルタ」
個性的なデジタル家電を小ロットで世界的に販売するビジネスを展開している、ハードウエアベンチャーのCerevo。同社は8月2日に新製品発表会を開催、そこで発表したのは「SIM CHANGER デルタ」という、従来にないデバイスである(写真1)。
SIM CHANGER デルタは、その名前の通り「SIMカード切り替え器」と呼ぶべきデバイス。本体に最大4枚のnano-SIMを挿入し、スマートフォンのSIMスロットにはnano-SIM型のBluetoothデバイス「ブリッジカード」を挿入しておく。後はブリッジカードを挿入したスマートフォン側から、アプリでSIM CHANGER デルタに挿入されているSIMのうち、どのSIMを使いたいかを選ぶだけで、選んだSIMの通信回線に切り替えて利用できるようになるという。
スマートフォンとSIM CHANGER デルタはBluetoothで接続されている必要があるため常に双方のデバイスを持ち歩く必要はあるものの、SIMの抜き挿しをする必要なく、手元の操作で使いたいSIMを簡単に切り替えられるのがメリットだ。例えば国内用のSIMと海外用のSIMを切り替えたり、通信容量が足りなくなったら別のSIMに切り替えたり、通話用のSIMとデータ通信用のSIMを切り替えたりと、複数のSIMを活用した様々な使い方が可能になる(写真2)。
デザインも三角形型とやや個性的な形状だが、サイズは小型のモバイルWi-Fiルーター程度の大きさで、鞄に入れて持ち歩く分には苦にならない。またブリッジカードとの通信には、少ない電力で通信できるBluetooth Low Energyが用いられており、3400mAhのバッテリーで約30日の連続使用が可能だとしている。なお、現在対応しているOSはiOSとAndroidで、仕組み上の違いからOSごとに異なるブリッジカードが必要とのことだ。
SIM CHANGER デルタはクラウドファンディングの「Makuake」で試験的に販売を開始し、ブリッジカード1枚のコースと2枚のコース、各200人の販売が達成したら市販を開始するとしていた。だが販売開始から24時間で、両コースともに規定の人数に到達しており、その後も順調に販売数を伸ばしている。筆者が確認した時点(8月8日)では、既に584人が購入しているようだ。