KDDIは2017年8月2日、IoT向けの通信サービスやソリューションを提供するベンチャー企業のソラコムを子会社化すると発表した。IoT向けネットワークの分野で、国内だけでなく海外でも存在感を発揮し急成長を遂げているソラコムだが、なぜKDDIの傘下となる道を選んだのか。そしてKDDIがソラコムを買収する狙いはどこにあるのだろうか。
大きな驚きをもたらしたソラコム買収劇
法人向けを主体として盛り上がりを見せるIoTだが、ここ最近、そのIoT関連の分野で注目を集めているのがソラコムである。
ソラコムは2014年設立と誕生して間もないスタートアップ企業であり、NTTドコモのMVNOとして通信サービス「SORACOM Air」を提供する。SORACOM Airは、他のMVNOの通信サービスとは異なり、携帯電話のコアネットワークをAmazon Web Service(AWS)上に実装することにより、安価で柔軟な料金体系を実現。しかも一般ユーザー向けではなく、主にIoTの製品やサービスを開発したい法人に向けて提供するという他にない展開により、たちまち注目を集めることとなった。
その後ソラコムはネットワークだけでなく、顧客のシステムとソラコムのネットワークを閉域で接続する「SORACOM Canal」「SORACOM Direct」など、顧客の要望に応じて様々なサービスを提供。さらに事業範囲を日本だけでなく海外にも拡大し、2016年12月には米国で、2017年2月には欧州でSORACOM Airの提供を開始している。
2017年に入ってからはネットワークの多様性を高める取り組みを進めており、2月にはIoTに向けた低消費電力で広範囲をカバーする「Low Power Wide Area」(LPWA)の1つ、LoRaWANの対応サービスや機器の提供を開始したほか、7月には京セラコミュニケーションシステムが国内で提供しているLPWAの1つ「SIGFOX」への対応も発表。自社のコア技術を活用しながら、幅広いネットワークへの対応を打ち出している。