LINE社は2017年7月26日、2016年に業務提携したデリバリーポータル大手「出前館」のリソースを活用したデリバリーサービス「LINEデリマ」を開始した。メッセンジャーアプリ「LINE」からアクセスし、注文ができる。LINE社は過去にもデリバリーサービスに進出し、撤退した経緯があるが、改めて参入する理由はどこにあるのか。また同社はLINEデリマでデリバリーサービスをどのように拡大しようとしているのだろうか。

LINEと「出前館」のメリットを合わせたサービス

 あらゆるサービスをLINEの中に取り込む「スマートポータル戦略」によって、事業拡大を進めようとしているLINE社。ここ最近積極的に新たなサービスに関する発表を続けている同社だが、7月26日には新サービス「LINEデリマ」を開始した。

 これはLINE上から利用できるデリバリーサービスで、全国1万4000店舗のフードメニューをLINE上から検索し、注文できるというもの。ジャンル別・エリア別の検索といった一般的なデリバリーサービスの機能を備えながらも、LINEのサービスと連携した仕組みが多く用意されているのが特徴だ。

LINEからデリバリーサービスを注文できる「LINEデリマ」。公式アカウントによるチャットで店舗を探したり、LINEポイントと連携したりするなどの仕組みが用意されている。写真は7月26日のLINEデリマ ローンチ記者発表会より(筆者撮影)
LINEからデリバリーサービスを注文できる「LINEデリマ」。公式アカウントによるチャットで店舗を探したり、LINEポイントと連携したりするなどの仕組みが用意されている。写真は7月26日のLINEデリマ ローンチ記者発表会より(筆者撮影)
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 具体的には、LINEデリマの公式アカウントとチャットしながら目的の店舗を検索できるほか、LINEデリマで注文するとLINEポイントが貯まり、それを使って決済する仕組みなども備えている。LINEのサービスを取り入れることで、LINEユーザーにデリバリーサービスの一層使いやすい環境を提供している点が、他のデリバリーサービスとの大きな差異化要素となっている。

 さらに今後は、ユーザーの購入履歴からお薦めの商品をプッシュする機能や、人気メニューのランキング機能、そしてスマートフォンの位置情報を活用し、花見の時に公園から注文するなど、注文者の場所が不明瞭な場所へのデリバリーも検討しているとしている。

 ちなみにLINEデリマは、LINE社が2016年業務提携・出資すると発表した夢の街創造委員会が運営する、デリバリーサービスのポータルサイト「出前館」のリソースを活用して展開される。LINE社と夢の街創造委員会は、業務提携によって2016年7月から、LINEの公式アカウント上でデリバリーを注文できる「出前館 on LINE」を展開していたが、今回の取り組みはそれを一歩推し進め、よりLINEのサービスとの連携を深めたものとなるようだ。