英パフォーム グループ(Perform Group)は2016年7月20日、Jリーグの放映権を10年間、約2100億円で獲得することを発表。今夏に日本でサービスを開始するスポーツの動画配信サービス「DAZN」(ダ・ゾーン)で、Jリーグの全試合を生中継するとしている。なぜ今、動画配信サービスを提供する企業が、日本のプロスポーツに目を付け始めたのだろうか。

英国企業がJリーグの放映権を巨額で獲得

 前回取り上げた「ポケモンGO」のように、ここ最近、ITやモバイルに関連した大きい出来事が相次いでいる。その1つと言えるのが、7月20日にJリーグとパフォーム グループ、そしてNTTが開いた記者発表会である(写真1)。

写真1●Jリーグとパフォーム グループ、NTTは7月20日に緊急会見を実施。パフォーム グループがJリーグの放映権を10年間、約2100億円したことが明らかとなった。写真は同会見より(筆者撮影)
写真1●Jリーグとパフォーム グループ、NTTは7月20日に緊急会見を実施。パフォーム グループがJリーグの放映権を10年間、約2100億円したことが明らかとなった。写真は同会見より(筆者撮影)
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 ここで発表されたのは、パフォーム グループがJリーグの放映権を10年間、約2100億円で契約し、J1、J2、J3の試合をライブ配信するというものだ。配信には、同グループが今夏に提供開始を予定するスポーツ特化の動画配信サービス「DAZN」を利用する。日本のスポーツの放映権を、海外企業がこれだけ巨額で獲得するというのは前例がなく、大きな驚きがある。

 パフォーム グループが獲得したのは、地上波やBSなどの無料放送を除く、インターネット配信やCS放送などの有料配信に関する放映権である。Jリーグの有料配信の放映権は、これまでCS放送の「スカパー!」などを展開するスカパーJSATが獲得してきたが、それを放送ではなく、インターネット配信を主体とする事業者が獲得した点も注目すべきポイントだといえる。

 さらにJリーグとパフォーム グループは、NTTグループと共同で全国のスタジアムにWi-Fiを整備し、その上で情報サービスを提供したりするなど、スタジアムのICT化を進めるとしている。ICT化でJリーグのスタジアムに対する投資が進み、スタジアム自体の魅力を高め観客増につなげられることも、今回の放映権獲得には大きく影響したようだ。

 今回放映権を獲得したパフォーム グループは、スポーツコンテンツに特化したメディア事業やコンテンツ配信などを展開する企業であり、日本ではサッカーメディアの「GOAL.com」や、NBAの日本公式サイト「NBA.com日本語版」などを運営している。そのパフォーム グループが展開する動画配信サービスがDAZNであり、JリーグはDAZNの目玉コンテンツとなるようだ。

 DAZNのサービス内容はまだ明らかにされていないが、Jリーグに加えてバレーボールの「Vリーグ」や、総合格闘技の「UFC」なども配信すると既に発表されている。他にも国内外のスポーツを映像配信するという。シンプルな料金を実現するとのことから、月額課金制でのサービス提供が予想されている。またスマートフォンやタブレット、パソコンなどマルチデバイスで視聴できることを想定しており、時間や場所を選ばずスポーツの試合を楽しめるのが大きな特徴となるようだ。