2015年7月13日、任天堂の岩田聡社長が死去したと発表されたことが、国内外に大きな衝撃を与えた。岩田氏が3月にスマートデバイス向けゲームへの参入を決めて間もないこともあり、今後の任天堂の戦略が気になるところだ。岩田氏の急逝はスマートフォンゲームへの取り組みに、どのような影響をもたらすのだろうか。

スマートフォンゲームへの参入を決断した岩田氏

 2015年3月17日、任天堂がディー・エヌ・エー(DeNA)と資本業務提携を結び、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイス向けゲーム事業に参入すると発表したことは、非常に大きな驚きをもたらした(写真1)。従来、コンシューマーゲーム機にこだわってゲーム事業を展開してきた任天堂の方針転換は、非常に大きなインパクトを与えるものであった。

写真1●任天堂は3月17日、DeNAと資本業務提携を結び、スマートフォンゲーム事業に参入すると発表。その決断を下し、会見に臨んだのは社長の岩田氏であった(出典:任天堂公式YouTube)
写真1●任天堂は3月17日、DeNAと資本業務提携を結び、スマートフォンゲーム事業に参入すると発表。その決断を下し、会見に臨んだのは社長の岩田氏であった(出典:任天堂公式YouTube)
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 そして、そのスマートデバイスへの参入を決断したのが、任天堂の社長だった岩田聡氏である。岩田氏は元々HAL研究所のプログラマーであったが、同社が1992年に経営破たん。任天堂の支援を受けた後にHAL研究所の社長へと就任した。「星のカービィ」などの人気シリーズを生み出して業績を大きく回復させた。

 その手腕が評価されて任天堂の社長へと抜擢された岩田氏は、ゲーム人口を拡大することを目標に掲げ、「Wii」や「ニンテンドーDS」など、従来にない新しい操作性を取り入れたハードを次々投入。この戦略が功を奏し、特にWiiは1億台以上の販売台数を記録するなど驚異的な伸びを示したことで、落ち込んでいた同社の業績を大きく向上させたのである。