IoTは法人向けの分野では大きな盛り上がりを見せつつあるものの、コンシューマー向けとなると現状、関心は決して高いとはいえない状況にある。そうした状況を打開し家庭にIoTを広めるためには、デバイスやネットワーク面の取り組みだけでなく、コンシューマーに使ってもらいやすくするための販売面での工夫が必要なのではないだろうか。
法人向けとコンシューマー向けとの激しい温度差
あらゆる機器をインターネットにつないで新しい価値を生み出す「IoT」。その取り組みは急速に増えており、関心も非常に高まっているようだ。実際、筆者がIoT関連の展示会やイベントに足を運ぶと、非常に多くの人が訪れ製品やサービスに高い興味や関心を示している様子がうかがえる。
とはいうものの、その盛り上がりは法人向け限定、というのが正直な所でもある。最近はIoTをうたうコンシューマー向けの製品も市場に出回りつつあるのだが、こちらは大きく盛り上がっているとは言い難く、消費者の関心が高まっている様子は見られない。
その理由として、IoT自体の進化が途上であるため製品の洗練度が不足していることが挙げられるかもしれない。だがそれ以上に、コンシューマーにIoT製品を販売するうえでの難しさとなっているのは、IoT自体が持つ分かりにくさではないかと筆者は感じている。
というのも、そもそもIoTの概念自体が明確な“モノ”を示しているわけではないので、スマートフォンのようなキラーデバイスが生まれにくく、一般消費者に魅力が伝わりにくい。それゆえ消費者がIoTに明確なメリットや魅力を見出せず、関心が高まらない要因へとつながっているのではないだろうか。
それだけにIoTの概念をコンシューマー製品にまで本格的に広げていくには、技術や製品の開発だけでなく、販売の工夫が強く求められるところだ。IoT製品の販売側にどのような工夫ができるのか、最近のスマートホームの事例から探ってみよう。