東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)は7月1日、リクルートホールディングスと提携し、同局の放送を無料配信するスマートフォン用アプリ「エムキャス」の実証実験を開始すると発表した。全国どこにいても同局の放送を同時試聴できるという意欲的な試みだ。テレビ局がアプリを通じたインターネット経由の番組配信を実現できた背景と、クリアすべき課題などについて考えてみよう。

テレビ番組をインターネット経由でリアルタイム視聴

 テレビ番組をインターネット経由でリアルタイムにストリーミング配信し、全国どこでもテレビ番組を視聴できるようにするというアイデアは、古くから存在する。実際海外では、インターネット経由で番組を視聴するサービスがいくつか見られるが、日本では今なおハードルが高いようで、実現には至っていない。

 最近になってようやく、一部のテレビ局が放送後の一部番組を動画配信サイトでオンデマンド形式提供する「見逃し配信」を始めるなど、テレビ局がインターネットを活用する動きは従来より活発になってきてはいる。だがそれでも、全国どこにいても、好きな放送局の番組を、インターネット経由で同時視聴できる仕組みは実現できていない。

 しかしながら、そうした流れを大きく変える可能性を秘めたスマートフォンアプリが7月1日に発表された。それは、東京のローカルテレビ局であるTOKYO MXが、リクルートホールディングスとの提携で実証実験として提供したアプリ「エムキャス」だ(画面1)。

画面1●「エムキャス」の視聴画面イメージ(TOKYO MXのプレスリリースより)。同局で放映されているアニメなどが同時視聴可能となる
画面1●「エムキャス」の視聴画面イメージ(TOKYO MXのプレスリリースより)。同局で放映されているアニメなどが同時視聴可能となる
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 このアプリは、簡単に言ってしまえばTOKYO MXが放送している番組をインターネット経由でストリーミング配信し、どこでもリアルタイムに視聴できるというもの。配信エリアを制限する機能が搭載されているが、現在のところ全国で利用できるとのこと。これを使えばTOKYO MXの視聴可能エリアが全国に広がるわけだ。実証実験の期間は1年を予定しているという。