IoTが注目されて久しいが、IoT関連機器のベンチャーが次々と立ち上がり、多数のプロダクトが登場して注目される状況には至っていない。なぜ日本でIoT関連のハードウエアを開発するベンチャーが、なかなか立ち上がらないのだろうか。

なかなか増えない国内発のIoTプロダクト

 ソフトバンクが2016年4月より展開している、IoTなどのものづくりを支援するプラットフォーム「+Style」(「ソフトバンクのものづくり支援プラットフォーム「+Style」はIoTハード開発を盛り上げられるか」参照)は、ここ最近+Style上で展開する新しいプロダクトの積極的なアピールを進めている。実際5月に続いて、6月27日にも新たに追加される10のプロダクトを記者向けに発表しており、短期間で多くのプロダクトを増やそうとしている様子を見て取ることができる。

 +Styleには、プロダクト内容に応じて3段階の仕組みが用意されている。提案したプロダクトに関するアイデアを募集する「プランニング」、製品開発のために資金を集める「クラウドファンディング」、そして開発した製品を販売する「ショッピング」である。今回追加されたプロダクトは、プランニングとクラウドファンディングが1つずつ、そしてショッピングが8つと、開発済み製品のテスト販売が主となっているようだ(写真1)。

写真1●+Styleには新たに、人の声などに反応する犬型ロボット「MeetCHiP」など10プロダクトが新たに追加されたが、そのほとんどは海外メーカー製だ。写真は2016年6月27日の+Style新製品発表会より(筆者撮影)
写真1●+Styleには新たに、人の声などに反応する犬型ロボット「MeetCHiP」など10プロダクトが新たに追加されたが、そのほとんどは海外メーカー製だ。写真は2016年6月27日の+Style新製品発表会より(筆者撮影)
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 プロダクトの内容は、電動スケートボードや宙に浮くスピーカー、ペット型ロボットなど多岐にわたる。実際に紹介されたプロダクトを見ると、ある1つの傾向が見えてくる。

 それは、今年1月に開催された「CES 2016」で展示されたプロダクトが多く見られるということ。CESから半年が経過したことで製品のブラッシュアップが進み、量産に入ったプロダクトを日本に向け試験販売するために、+Styleを活用しようとしている様子がうかがえる。

 そしてもう1つは、中国や台湾、韓国など海外のベンチャーなどが手掛けたプロダクトが大半を占めていること。日本企業が販売代理店を務めているケースはいくつか見られるものの、国内の企業が直接開発しているプロダクトは見ることができなかった。

 ソフトバンクとしては、立ち上がったばかりの+Styleの認知度を高めるため、少しでも多くのプロダクトを提供したいことから、国内外問わずプロダクトを広く集めていると見られる。それゆえ短期間で多くのプロダクトを増やすとなると、海外メーカーの製品がある程度多くなることは仕方がない部分もあるだろう。

 だがここまで国内の企業が手掛けるプロダクトが出てこないとなると、国内のIoT関連ハードウエアを開発するベンチャーが、あまり盛り上がっていないという印象を受けざるを得ない。