マウスコンピューターが「MADOSMA Q501」を発売し、4年ぶりに国内で対応スマートフォンが投入されたことで、国内での注目度が再び高まりつつあるWindows Phone。だが長い間日本市場で投入されてこなかったブランクは決して小さくないのもまた事実。今後Windows Phoneは、どのようにして日本市場へ確固たる足がかりを作ろうとしているのだろうか。
日本から事実上の撤退状態にあったWindows Phone
現在のスマートフォン市場は、iOSとAndroidの2大勢力が実質的に掌握している。だが、それら2大勢力の間に入り込むべく、チャレンジを続けているスマートフォンOSもいくつか存在する。米マイクロソフトの「Windows Phone」もその1つだ。
マイクロソフトはiPhone登場以前、「Windows Mobile」によってスマートフォン市場で大きな存在感を示していた。ところがiPhoneの登場以降、急速にシェアを落とした。そこで実質的にOSを作り直し、Windows Mobileの後継で現在のWindows Phoneのベースとなる「Windows Phone 7」を2010年に発表。しかしながらハード条件を厳しく設定し、ライセンス先を絞ったことなどから端末のラインアップが広がらず、先行するiPhoneやAndroid端末の前に苦戦を強いられた。
その後、海外ではノキアと提携し、ノキアがWindows Phone端末「Lumia」シリーズの販売を積極化したが、思うようにシェアを拡大できなかった。マイクロソフトは2014年にノキアの端末部門を買収。Windowsタブレットの「Surface」シリーズ同様、自社でOSとハードを一体的に手掛けることにより、シェア向上を狙う取り組みを進めてきた。
そうした海外でのWindows Phoneの流れと異なる歴史を歩んできたのが、日本市場だ。日本でもWindows Mobileの時代に多くのスマートフォンが投入されてきたが、Windows Phone 7以降は一転して端末が投入されなくなり、2011年にauから発売された富士通東芝モバイルコミュニケーションズ(現在は富士通モバイルコミュニケーションズ)製の「IS12T」で、ようやくWindows Phoneを国内で利用できるようになった(写真1)。ちなみにIS12Tは世界で初めてWindows Phone 7.5を搭載し、かつ現在のLumiaシリーズに近いポップなカラーリングを採用したことでも注目を浴びた。