国内でもクラウドAIプラットフォームへの機運が高まるなか、この分野への新規参入を表明したのがNTTドコモだ。同社は2017年6月23日、「AIエージェントAPI」を外部パートナーに提供し、共同でサービス開発する「ドコモAIエージェント・オープンパートナーイニシアティブ」の推進を発表した。並み居るIT大手がAIに力を入れるなかにあって、NTTドコモの勝算はどこにあるのだろうか。

AIアシスタントをAPIとしてパートナー企業に提供

 米グーグルが「Googleアシスタント」の日本語対応を開始し、スマートスピーカー「Google Home」の国内投入を発表。LINEもクラウドAIプラットフォーム「Clova」を搭載したスマートスピーカー「WAVE」の発売を発表するなど、ここ最近AIを活用したアシスタントサービスに関する取り組みが、日本でも活発になってきている。

 背景にあるのは、米国におけるスマートスピーカーと、それに搭載されているクラウドAIプラットフォームの人気の高まりだ。米アマゾンの「Amazon Echo」とそのAIアシスタント「Alexa」が代表的だが、最近では米マイクロソフトや米アップルもスマートスピーカーへの参入を表明するなど、大きな盛り上がりを見せている。

 そして国内で、新たにこの分野に参入しようとしている企業が現れた。携帯電話大手のNTTドコモだ。同社は2017年6月23日、AIアシスタントを実現するための「AIエージェントAPI」を開発していると発表。これを用いた新しいAIアシスタントサービスを2018年に提供する予定であるなど、クラウドAIプラットフォームの分野に本格参入すると表明したのである。

NTTドコモは「AIエージェントAPI」をパートナー企業に提供し、デバイスやサービスを共同開発する形でクラウドAIプラットフォームへ参入。インテルや高島屋、「食べログ」などを有するカカクコムなどが初期パートナーとして参加する。写真は6月23日の「ドコモAIエージェント・オープンパートナーイニシアティブ」発表会より(筆者撮影)
NTTドコモは「AIエージェントAPI」をパートナー企業に提供し、デバイスやサービスを共同開発する形でクラウドAIプラットフォームへ参入。インテルや高島屋、「食べログ」などを有するカカクコムなどが初期パートナーとして参加する。写真は6月23日の「ドコモAIエージェント・オープンパートナーイニシアティブ」発表会より(筆者撮影)
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 だが「AIエージェントAPI」という名称の通り、NTTドコモが提供するのはあくまでAIアシスタントを実現するためのAPIで、自社でスマートスピーカーなどのハードを直接提供するわけではない。今回の取り組みでは、APIをオープン化して外部のパートナー企業に提供し、AIを活用したサービスを共同開発するプログラム「ドコモAIエージェント・オープンパートナーイニシアティブ」に力を入れる方針のようだ。

 このプログラムに参加する初期パートナーの中には、米インテルなどのハードウエア関連メーカーのほか、カカクコムなどのサービス事業者、さらには高島屋などの小売業者なども含まれている。クラウドAIプラットフォームでは自社でサービスからハードまで手掛ける垂直統合型の取り組みが目立つが、NTTドコモは、プラットフォーム以外の部分を外部のパートナーに任せる水平分離方式を採り、幅広いデバイスやサービスに採用してもらうことで、いち早い普及を狙うようだ。