NTTドコモの業績回復を支えるスマートライフ事業の中でも、主力サービスとなっている総合オンラインサービス「dマーケット」。「dTV」「dマガジン」などのヒットで人気と売り上げを高める一方、課題も少なからず見られるようだ。NTTドコモの成長を支えるdマーケットの強みと弱みについて考えてみたい。
16のサービスを提供、1500万以上の契約を抱える
4月28日に発表されたNTTドコモの2016年3月期決算は、通期では4年ぶりとなる増収増益を達成。昨期は新料金プラン導入の影響で大幅な業績下方修正に見舞われただけに、1年で業績を大きく回復させたと分かる。
その業績回復に貢献したのは、大幅なコスト削減、新料金プランによる減収影響の低減、番号ポータビリティによる転出の大幅減少などによる通信事業の回復が挙げられる。もう1つ、業績拡大に大きく影響しているのがスマートライフ事業だ。
NTTドコモはここ最近、通信事業をベースとしながらも、買収した企業のアセット活用や、パートナー企業との協業などによって、通信事業以外の領域、つまりスマートライフ事業の拡大を進めている。そしてスマートライフ事業の中心となっているのが、総合オンラインサービスの「dマーケット」である。
dマーケットは、2010年に「ドコモマーケット」としてサービスを開始して以降、現在に至るまで16のサービスを提供している。定額制の映像配信サービス「dTV」や雑誌読み放題サービス「dマガジン」など月額制のサービスが主力だが、他にも総合旅行サービス「dトラベル」、ファッション通販「d fashion」など、パートナー企業との協業によって多彩なサービスを手掛けている。2016年7月には新たに、NTTドコモユーザー向けに提供していた生活支援サービスの「家のあんしんパートナー」をリブランドし、「dリビング」として提供する予定であるなど、現在も拡大を続けている(写真1)。
実績も大きい。dマーケットは月額課金制の6サービスだけでも1554万契約を抱えるなど、国内のネットサービスとしては非常に大規模となっている(写真2)。またdマーケットにおける1人当たりの利用料も、2015年度第4四半期には前年同期比1.2倍の1370円にまで拡大。年々順調な成長を遂げている。
2014年には、NTTドコモのユーザーのみに提供されていたdマーケットのオープン化が進められ、現在ではNTTドコモ以外のユーザーも利用できるサービスとなっている。NTTドコモの成長を支えるdマーケットだが、その強みと弱みはどこにあるのかを、改めて確認してみたい。