最近では携帯電話事業者として知られるソフトバンクだが、その代表取締役社長である孫正義氏は5月11日、決算発表の場で、再び世界のインターネット企業を目指して投資を積極化していくと発表した。元米グーグルのニケシュ・アローラ氏を「後継」に指名するなどして、Webやアプリによるサービスを主体としたインターネット事業に力を入れようとしている。その背景には何があるのだろうか。

携帯電話事業で成長したソフトバンクが再びネット事業へ

 かつて米ヤフーへの投資で大きなリターンを得るなど、インターネット企業への投資で成功を収めてきたソフトバンク。だがその後は、ADSLによるブロードバンド事業展開のほか、日本テレコムやボーダフォン日本法人の買収など、インターネットを利用するうえで必要な通信インフラ事業へと力を入れるようになった。

 中でも携帯電話事業に関しては、大胆な料金戦略やインフラへの集中投資、iPhoneへの注力、そして相次ぐ企業買収によって、現在は国内で会員数2位のシェアを獲得するに至っている(写真1)。さらに2013年には米スプリントを買収し、海外での事業にも乗り出すなど、通信事業の拡大路線を続けてきた。

写真1●ソフトバンクはボーダフォン日本法人の買収で携帯電話事業へ進出し、通信大手の一角を占めるに至った(2015年5月11日開催のソフトバンク通期決算会見での様子)
写真1●ソフトバンクはボーダフォン日本法人の買収で携帯電話事業へ進出し、通信大手の一角を占めるに至った(2015年5月11日開催のソフトバンク通期決算会見での様子)
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 そうしたことからソフトバンクは通信が事業の中心を占めるようになり、孫氏も通信事業に多くの時間を割くすようになった。その結果、Webサービスへを主体としたインターネット事業への関心が減っていったようだ。