ヤフーは4月19日、同社のオンライン決済サービス「Yahoo!ウォレット」を拡充し、銀行口座から決済代金が引き落とされる「預金払い」と、電子マネーサービス「Yahoo!マネー」を提供すると発表した。これまでクレジットカード払い重視の姿勢を取り続けてきたヤフーが、電子マネーサービスに力を入れるようになった理由はどこにあるのだろうか。

ヤフーが現金派に向けた電子マネーサービスを発表

 ここ最近、電子マネーサービスに関する大きな動きが相次いで起こっている。3月にはLINEが、同社の電子マネーサービスを拡大し、ジェー・シー・ビーと提携してJCB加盟店での決済ができる「LINE Payカード」を提供するなどの施策を打ち出し、大きな注目を集めている。

 そして4月19日、今度はヤフーが電子マネーサービスに関する大きな動きを見せた。同社はこれまでにも、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」などの決済手段として、「Yahoo!ウォレット」を提供しており、ポイントプログラム「Tポイント」との連携や、独自のクレジットカード「Yahoo! Japanカード」の発行など、様々な取り組みを実施して決済事業を強化。現在ではヤフーのサービスだけでなく、外部サイトの決済にもYahoo!ウォレットが利用できるようになっている(写真1)。

写真1●ヤフーは2002年に「Yahoo!ウォレット」のサービスを開始しており、Tポイントの連携やクレジットカードの発行なども進めている。写真は4月19日のヤフー発表会より(筆者撮影)
写真1●ヤフーは2002年に「Yahoo!ウォレット」のサービスを開始しており、Tポイントの連携やクレジットカードの発行なども進めている。写真は4月19日のヤフー発表会より(筆者撮影)
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 そのヤフーが、Yahoo!ウォレットに関して新たな施策として発表したのが、「預金払い」と「Yahoo!マネー」の2つである。これらはいずれも、クレジットカードを使っていない人に向けた決済手段と言えるだろう。

 預金払いはその名前の通り、対応する銀行の口座を登録しておくと、決済時に即座に口座からお金が支払われる仕組み。発表時点で25の銀行に対応するほか、年内にはさらに13の銀行に対応するとしている。

 そしてYahoo!マネーは、Yahoo!ウォレットと連動した電子マネーサービスであり、預金払いに対応する銀行口座からチャージすることで、電子マネーとして利用できるものだ(写真2)。大きな特徴はヤフーのサービスとの連携で、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」「LOHACO」といったヤフー関連のECサービスで利用すると1%の特典が上乗せされるキャンペーンが実施される。このほか、ヤフオク!に出品した際の落札代金をYahoo!マネーで受け取ることができ、その際は落札代金の2%分が上乗せされる仕組みとなっている。

写真2●「Yahoo!マネー」は、預金からチャージして買い物したり、ヤフオク!の落札料金を受け取ったりするのに活用できる電子マネーサービスだ。写真は4月19日のヤフー発表会より(筆者撮影)
写真2●「Yahoo!マネー」は、預金からチャージして買い物したり、ヤフオク!の落札料金を受け取ったりするのに活用できる電子マネーサービスだ。写真は4月19日のヤフー発表会より(筆者撮影)
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 またYahoo!マネーは、個人間の送金にも対応しており、割り勘にも対応するなどLINE Payを意識した仕組みも取り入れられているようだ。さらに今後は、ヤフー関連以外のサービスへの利用拡大を進めるほか、2017年春には何らかの形で、リアルでの決済にも対応させるとしている。