近頃、スマートフォンで急速に人気を高めているゲームの1つに「Ingress」がある。位置情報を活用したシンプルなゲームだが、国内でも熱狂的なプレーヤーを獲得し、自治体が観光に活用するなど、大きな注目を集めている。Ingressはこれほどの人気を獲得しているのだろうか。そしてIngressが持つゲームの特性は、ビジネス面においてどのような可能性を秘めているのだろうか。

「Ingress」とはどのようなゲームか?

 2014年から2015年にかけて、大きな注目を集めるようになったのが「Ingress」だ。これは、米グーグルの社内ベンチャーであるナイアンティックラボ(Niantic Labs)が開発したスマートフォン向けのゲームアプリで、2013年より正式に提供されている。

画面1●Ingressのゲーム画面
画面1●Ingressのゲーム画面
現実の地図を使用し、実際に移動して青や緑のポータルを奪い合いながら陣取りするゲームだ。
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 Ingressの内容自体は非常にシンプルで、青と緑の陣営に分かれて競う陣取りゲームである(画面1)。大まかな内容を説明すると、世界中に設置されている「ポータル」を、ボタンを押して「ハック」し、様々なアイテムを獲得。獲得したアイテムのうち、「XMP Blaster」などの武器を使って敵の色のポータルを攻撃して破壊し、「Resonator」と呼ばれるアイテムを設置して自陣の色のポータルにする。そして同じ色のポータル同士を結んで「リンク」し三角形を作って囲み、両陣営でその面積の合計を競う。

 Ingressの最大の特徴は、現実の地図と位置情報を活用したゲームという点にある。ポータルをハックしたり、攻撃したりするには、Ingress上で地図を確認し、プレーヤーが実際にそのポータルの近くに行かなければならない。アイテム課金の仕組みを採用していないことから、アイテムを獲得するのにも、移動してポータルをハックし続ける必要があるのだ(画面2)。

画面2●ポータルは史跡や神社など、世界のさまざまな箇所に設置されている
画面2●ポータルは史跡や神社など、世界のさまざまな箇所に設置されている
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 SF的な雰囲気のストーリやデザインなど他にも注目すべき要素は多いが、やはり実際に移動しなければ楽しめないという点が、人気を獲得している最大のポイントと言えるだろう。最近では日本でもプレーヤーが急増しており、世界的にも上位に位置する程の人数に達しているとのこと。

日本各地でIngress関連のイベントも実施されており、中でも今年3月に京都で実施された、日本では2度目となる公式イベント「XM Anomaly」には5000人を超えるプレーヤーが全国から集結。大きな盛り上がりを見せた。