ソフトバンクは2016年3月30日、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)製品など、企業のものづくりを支援する消費者参加型のプラットフォーム「+Style」の提供を開始した。クラウドファンディングだけでなく、企画からの支援や、自社流通網を生かした販売・マーケティング支援など、総合的なサポートを実施する取り組みである。+Styleは国内でIoTを盛り上げる起爆剤となるだろうか。

ものづくり支援のための新しいプラットフォーム

 昨年より注目を集めているIoT。今年のCESやMobile World CongressといったイベントにおいてもIoT関連の展示は確実に増えていると感じたし、機器を開発しやすくするためのプラットフォームや、IoTで利用しやすいネットワークなど、周辺の環境も整えられつつある。

 だが一方で、具体的にIoTを象徴する製品が登場しているのかというと、残念ながらそうではない。IoTという言葉自体が非常に広く、漠然とした定義であるため、そうした製品が出にくいということもあるが、やはり言葉や概念に対する盛り上がりが先行し、特に国内においては肝心の製品やユーザーがついてきていない印象を受けるのも事実だ。

 そうした現状を変えるうえで求められるのは、IoTのハードウエアを開発・販売しやすくするための環境を整えることだ。IoT関連機器は、アプリと比べると開発や量産化、販路の確保に至るまで、展開のハードルが非常に高いからだ。

 確かに、国内でもハードを開発するための拠点を設けたり、クラウドファンディングでユーザーから資金を獲得し、製品化したりするなどの基盤は整いつつある。だがそれでもなお、ハード開発に対する関心はまだ高まっているとは言えないし、量産化や販路の確保に課題があるのも事実だ。また、具体的な製品のアイデアがあっても、消費者が実際何を求めているかが見えにくいなかで開発を進めなければならず、事業化のリスクが大きいというのも課題といえるだろう。

 そうした環境を変えるべく、IoTなどものづくりを支える新しいプラットフォームを提供することを打ち出したのがソフトバンクである。ソフトバンクは3月30日に、企業のものづくりを支援するプラットフォーム「+Style」を立ち上げた(写真1)。

写真1●ソフトバンクは3月30日、ものづくりを支援する新しいプラットフォーム「+Style」の提供を開始している。写真は同サービス発表会より(筆者撮影)
写真1●ソフトバンクは3月30日、ものづくりを支援する新しいプラットフォーム「+Style」の提供を開始している。写真は同サービス発表会より(筆者撮影)
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消費者の声を取り入れやすく、販路も確保

 +Styleには、企業が製品のアイデアを投稿して消費者からの意見を募集する「プランニング」、事前に消費者から商品購入を募って商品化する「クラウドファンディング」、製品をテスト的に販売し、消費者の声を聞く「ショッピング」と、3つの機能が用意されている。企業は3つのうち、どの段階から参加してもよいとのこと。アイデアだけを持ち込んでプランニングから参加するケースもあれば、既に開発した商品をショッピングで販売するケースもあるとしている。

 そしていずれの機能にも共通しているのは、製品やアイデアに対する消費者の声の取り入れやすさだ。+Styleに参加した企業が、消費者の声を取り入れながら、製品化に向けて企画や製品を改良できるというのが+Styleの大きな特徴である(写真2)。ショッピングを例に挙げると、消費者は感想の提供を前提に製品を購入する仕組みにしているという。企業だけでなく消費者を開発に巻き込みやすい環境を整備しているとのことだ。