「mineo」ブランドでMVNOによるモバイル通信サービスを提供するケイ・オプティコムは2017年2月16日、コンテンツと通信をパッケージにして提供する「+SIM(プラスシム)」という新しい取り組みを開始する。その第1弾として、同社のSIMと日本経済新聞社の「日経電子版」とを組み合わせた「日経電子版+SIM」を提供すると発表した。MVNO市場が急拡大する中、同社は+SIMの展開で何を狙おうとしているのだろうか。

日経電子版とmineoの通信サービスをパッケージ化

 ここ1年のうちに急拡大したMVNO市場。総務省の施策によって端末の実質0円販売が事実上禁止され、ITやスマートフォンに詳しい人達だけでなく、低価格を求める一般ユーザー層もMVNOに興味を示すようになった。急増するキャリアからの乗り換え需要を獲得するべくMVNO同士の激しい競争が繰り広げられている。

 そうした中にあって、「mineo」ブランドでMVNOとしてモバイル通信サービスを手掛ける関西電力系のケイ・オプティコムは、2月16日に「+SIM」という新たな施策を打ち出した(写真1)。コンテンツと通信をパッケージにして販売するというサービスだ。特定のアプリやサービスの通信料をカウントしないゼロレーティングのような仕組みはいくつかのMVNOが採用しているが、コンテンツを提供する事業者と組み、通信をセットにして販売するという施策は今まであまり見られないものだ。

写真1●ケイ・オプティコムは新たな取り組みとして、コンテンツとサービスを一体で提供する「+SIM」を打ち出した。写真は2月16日のケイ・オプティコム説明会にて(筆者撮影)
写真1●ケイ・オプティコムは新たな取り組みとして、コンテンツとサービスを一体で提供する「+SIM」を打ち出した。写真は2月16日のケイ・オプティコム説明会にて(筆者撮影)
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 その第1弾として提供するのが、日本経済新聞社の電子新聞サービス「日経電子版」と、SIMによる通信を一体で提供する「日経電子版+SIM」である。日経電子版の購読料と、5GBまでLTEデータ通信ができるSIMを一体で提供する。日経電子版の有料サービスは通常月額3889円で利用できるのに対し、「日経電子版+SIM」は通信料金込みで月額4946円とお得に利用できるのが特徴だ(写真2)。

写真2●+SIMの第一弾として提供されるのが「日経電子版+SIM」。日経電子版の有料サービスと、と5GBのデータ通信ができるSIMをセットで提供するものだ。写真は2月16日のケイ・オプティコム説明会にて(筆者撮影)
写真2●+SIMの第一弾として提供されるのが「日経電子版+SIM」。日経電子版の有料サービスと、と5GBのデータ通信ができるSIMをセットで提供するものだ。写真は2月16日のケイ・オプティコム説明会にて(筆者撮影)
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 もちろん安価だからといって、日経電子版のサービスや通信サービスに制限はない。ただし、ゼロレーティングが採用されているわけではないので、日経電子版を利用した場合も他のサービスと同様、通信量が消費されるとのことだ。また月額4946円という価格ではデータ通信のみが利用可能で、音声通話をセットにした場合は月額料金が5646円となる。それでも大手キャリアのサービスと日経電子版を個別に契約した場合の料金と比べればはるかに安い。

 しかしなぜ、ケイ・オプティコムはコンテンツと通信をセットにする施策を提供するに至ったのだろうか。そして第1弾のコンテンツとして、スマートフォンに多いエンタテインメント系のコンテンツではなく、日経電子版を選んだ理由は何だろうか。