これまでローエンドモデルが多く、目玉機能の「Continuum」が利用できないことが懸念とされてきたWindows 10 Mobileスマートフォン。だが最近になって、トリニティの「NuAns Neo」やVAIOの「VAIO Phone Biz」など、Continuum対応の端末が登場したことでその問題も解消しつつある。しかしながらそれによって新たに見えてきた課題もある。

ローエンドが主体のWindows 10 Mobile端末

 日本では長きにわたって投入されなかったWindowsスマートフォン。だが2015年、マウスコンピューターがWindows Phone 8.1を搭載した「MADOSMA Q501」を発売して以降、風向きが大きく変わった。その後継となるWindows 10 Mobileでは、これまで日本のスマートフォン市場開拓に消極的だったマイクロソフトも、積極的に取り組む姿勢を見せるようになった。

 その結果、マウスコンピューター以外にも多くのメーカーがWindows 10 Mobileスマートフォンの投入を表明。2015年末からは各メーカーがWindows 10 Mobile端末を投入しており、Windowsスマートフォンの市場が本格的に立ち上がりつつある。

 一方、実際に投入された端末を見ると、多くがチップセットにクアルコムのSnapdragon 210やSnapdragon 410を採用した、ミドル〜ローエンドモデルとなっている(写真1)。その理由の1つは、参入したメーカーの多くは規模が小さく、しかもSIMフリーでの発売を前提としているため、価格が高いとユーザーに受け入れられてもらえず、ビジネスとしてのリスクが大きいことが挙げられる。

写真1●プラスワン・マーケティングの「KATANA 01」のようにSnapdragon 210を採用し価格を安価に抑えたWindows 10 Mobileスマートフォンが多い。写真は2015年11月24日のKATANA 01発表会より(筆者撮影)
写真1●プラスワン・マーケティングの「KATANA 01」のようにSnapdragon 210を採用し価格を安価に抑えたWindows 10 Mobileスマートフォンが多い。写真は2015年11月24日のKATANA 01発表会より(筆者撮影)
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 そしてもう1つは、開発期間の問題だ。Windows 10 Mobile端末を早期に開発・提供するには、チップセットの供給タイミングも大きく影響してくる。そうしたことから、Windows Phone 8.1の頃から供給されていたSnapdragon 410や、Windows 10 Mobileをサポートしたチップセットの中でも、比較的早い段階に供給されたSnapdragon 210を用いて開発が進められていたと考えられる。

 性能を抑えたことで、Windows 10 Mobileスマートフォンをスピーディーかつ安価に投入できたメリットは大きいが、一方でそのことによって懸念される問題も起きていた。それは、Windows 10 Mobileの目玉機能の1つ「Continuum」に対応した機種が出てこないということだ。