ヤフーは2018年6月に、代表取締役社長CEOを宮坂学氏から副社長の川辺健太郎氏に交代する。体制の変更によって「スマートフォンの会社」だけでなく、長年のサービス蓄積されたデータを活用する「データの会社」を目指すとしているが、新体制でヤフーのサービスはどう変わるのだろうか。

新しいテーマへの挑戦を機に若返りを図る

 「Yahoo! Japan」を運営するヤフーは、2018年1月24日に急きょ社長交代の人事を発表した。現在、副社長執行役員COO 兼 コマースグループ長を務めている川辺健太郎氏が代表取締役社長CEOとなる。現在の代表取締役社長CEOである宮坂学氏は取締役会長となる一方、新たに「Zコーポレーション」を立ち上げ、新規事業の開拓に取り組むとのこと。6月の株主総会を経て、川辺氏の社長就任が正式に決定するようだ。

ヤフーは1月24日に社長交代を発表。現社長の宮坂学氏から、現副社長の川辺健太郎氏に交代し、新たな事業への取り組身を積極化するとともに若返りを図る。写真は1月24日のヤフー記者会見より(筆者撮影)
ヤフーは1月24日に社長交代を発表。現社長の宮坂学氏から、現副社長の川辺健太郎氏に交代し、新たな事業への取り組身を積極化するとともに若返りを図る。写真は1月24日のヤフー記者会見より(筆者撮影)
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 宮坂氏は故井上雅博氏の後継として2012年にヤフーの社長に就任。当時のYahoo! Japanはパソコン向けのサービスが主体で、急速に普及するスマートフォン向けサービスに出遅れていた。そこで宮坂氏は、Yahoo! Japanの各種サービスのスマートフォンシフトを積極化し、スマートフォンでのビジネス拡大を推し進めてきた。

 一方で、宮坂氏は手薄だったEC(電子商取引)事業の強化にも着手。2013年には「eコマース革命」を打ち出し「Yahoo!ショッピング」の出店料無料化など大幅な改革を推し進めたほか、2015年に事務用品通販大手のアスクル、2016年には宿泊予約サイト「一休.com」を運営する一休を買収するなどして、EC事業を拡大してきた。

 そうした取り組みが功を奏し、ヤフーのサービスはパソコンからスマートフォンへのシフトに成功したほか、同じソフトバンクグループ系列のソフトバンクとの連携強化などによって、EC事業も急速な伸びを見せ、市場での存在感を高めてきている。それだけに、社長就任から6年というタイミングで、社長交代に踏み切る理由はあまりないようにも見える。

 一体なぜ、この宮坂氏が社長交代を打ち出したのだろうか。宮坂氏は1月24日の会見で、「6年前に掲げたスマートフォン、ECに強いヤフーというテーマから、新しい挑戦テーマが必要な時期と確信している」と話す。就任当初の課題解決にめどが立ったこともあり、新しい挑戦をするうえでリーダーも交代する必要があると考え、川辺氏への社長交代を決めたようだ。宮坂氏は50代、川辺氏は40代であることから、社内の若返りを図る狙いもあったようだ。