2016年1月19日にヤフーとの合弁で日本でもサービスを開始した「BuzzFeed」。政治からコミカルなネタまで幅広く扱い、ソーシャルメディアをうまく活用することで人気を高めてきたBuzzFeedだが、米国などでの成功をそのまま日本でも実現できるのだろうか。
ソーシャルメディアに強みを持つニュースメディア
2015年、「Yahoo!ニュース個人」の強化策を打ち出すなどしてメディア事業に力を入れているヤフー。同社は同年8月に、Webニュースメディア「BuzzFeed」を運営する米バズフィードと合弁でバズフィードジャパン株式会社を設立、BuzzFeedの日本展開を打ち出した。発表当時も大いに注目を浴びたが、それからおよそ5カ月が経過した2016年1月19日、日本版BuzzFeedサービスがスタートしたことから、再び大きな関心を集めているようだ(写真1)。
BuzzFeedは、動物ネタや笑える話など気軽に読める“ネタ”要素の高い記事から、政治や社会問題などに関する硬派な報道まで、幅広い情報を取り扱うニュースメディアであり、現在日本を含む世界11カ国でサービス展開している。大きな特徴となっているのが、従来のポータルや検索サービス経由で流入させるのではなく、ソーシャルメディアに適した形で配信し、そこで記事を拡散されやすくすることで、メディアへの流入を図ることに力を入れている点だ。
実際、1月20日に実施されたBuzzFeed Japanの記者発表会で公開された資料によると、BuzzFeedへの流入はFacebookやSnapchat、YouTubeなどからが多くを占めており、Googleからの検索による流入は2%程度にとどまるとのこと。バズフィード側も、最新のテクノロジーを用いてソーシャルメディアからどのようにニュースがシェアされ、流入につながっているかを分析し、それをコンテンツに生かしているなど、ソーシャルメディアを重視した取り組みを実施しているという。
こうした取り組みは、ソーシャルメディアを活用したバイラルメディアの多くに見られるものだ。だがそうしたメディアの多くは、記事を他のメディアから調達して提供することが多いのに対し、BuzzFeedは他社から記事を調達せず、記事コンテンツを自社で制作し、提供している点に大きな特徴がある。分析した情報を記事にダイレクトに反映でき、より確実な誘導へとつなげやすくなる点が、BuzzFeedならではの強みになっているのである。