最近、大手携帯電話事業者(キャリア)は携帯電話網を活用したドローン「セルラードローン」の取り組みに力を入れるようになってきた。主な用途は産業や災害への活用だが、従来のドローンでは困難な遠距離からの遠隔操作ができるため、期待と注目度は高い。だが一方で、実現にはいくつか大きな課題もあるようだ。
大手キャリアが相次いで実証実験などを実施
無人航空機「ドローン」に対する注目度は年々高まりを見せており、様々な種類のドローンが市場に登場している。
そのドローンに関して、ここ最近従来とは異なる取り組みを打ち出しているのが大手キャリアである。実際、2016年10月から12月頃にかけて、各キャリアがドローンを活用した取り組みを相次いで公開しているのだが、その狙いは「セルラードローン」の実現にあるようだ。
セルラードローンとは、制御などの通信に携帯電話網を活用するドローンのこと。ドローンは通常、Wi-Fiなど免許不要で利用できる2.4GHz帯を用いた電波で遠隔操作することが多く、基本的には近距離での利用が主だ。だがセルラードローンは携帯電話網を用いて通信するため、ドローンを直接視認できない遠く離れた場所からでも遠隔操作が可能となり、ドローンの活用シーンのさらなる拡大へとつながる。
実用化に向けた施策も、最近積極的に進められている。NTTドコモは2016年11月15日に福岡県福岡市内の離島で、セルラードローンを活用した買い物代行サービスの実証実験を実施した。22日には千葉県千葉市で、楽天などとLTEを活用したドローン配送システムの実証実験を実施している。
またKDDIも、ゼンリンや、産業用ドローンを開発するプロドローンなどとLTEを活用したドローン専用基盤「スマートドローンプラットフォーム」の商用化に向け業務提携することを発表。携帯電話網と3Dの地図を用い、市街地などでも安全にドローンを飛ばせる仕組みを整えていくとしている。