「WELQ」などのキュレーションメディアが大きな問題を起こしたことで話題となったディー・エヌ・エー(DeNA)だが、年明け早々、「ロボットタクシー」で合弁していた自動運転のZMPと業務提携を解消することを発表している。DeNAが今後の成長分野と位置付け、ベンチャー企業を活用して進めていた事業に関して、トラブルや提携解消などが相次いでいるのはなぜだろうか。

「ロボットタクシー」で合弁のZMPと提携解消

 2016年末、医療系の情報を扱うキュレーションメディア「WELQ」が、記事の盗用や虚偽の記述が多数存在するとして大きな問題となり、キュレーションメディアの在り方そのものが大きく問われる出来事が起きた。そのWELQを運営し、一連の問題に関して謝罪会見を実施したのがDeNAである。

 DeNAはキュレーションメディア事業を今後の成長分野の1つと位置付け、キュレーションメディアを展開していたベンチャー企業を相次いで買収し、事業拡大を進めていた。それだけに、WELQなどに関する一連の騒動で、全てのキュレーションメディアの公開を停止したことは、同社にとって痛手であることは確かだろう。

 だが今年に入って早々、今度はDeNAとベンチャー企業が共同で進めていた事業に関して、大きな動きが起きている。それは1月7日、自動車の自動運転事業に関して業務提携していたZMPと、提携を解消するというものだ。

 ZMPは自動車などの自動運転を手掛けるベンチャー企業。DeNAは自動運転を主体とした自動車関連事業を、キュレーションメディア同様、今後の成長事業の1つとして位置付けており、2015年5月にZMPとの業務提携を発表して合弁会社「ロボットタクシー」を設立(写真1)。自動運転によるタクシー事業の実現に向け、実証実験などを実施していた。

写真1●DeNAは2015年5月に、ZMPと合弁で自動運転によるタクシー事業を展開する「ロボットタクシー」を設立。自動車事業参入の目玉として大きな注目を集めた。写真は2015年5月28日のDeNAオートモーティブ事業発表会より(筆者撮影)
写真1●DeNAは2015年5月に、ZMPと合弁で自動運転によるタクシー事業を展開する「ロボットタクシー」を設立。自動車事業参入の目玉として大きな注目を集めた。写真は2015年5月28日のDeNAオートモーティブ事業発表会より(筆者撮影)
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 しかしながら今年に入り、突如ZMPとの合弁を解消すると発表。その理由について両社のプレスリリースを見ると、ロボットタクシーに関する運営方針の違いから、別々の取り組みをすることが最善との考えに至ったと記されている。

 ロボットタクシーの扱いに関しては今後両社で検討するとのことだが、ZMP側のプレスリリースには、今後もロボットタクシーの構想を実現するため、新たな枠組みで取り組んでいく旨の記述がなされている。一方でDeNAは同日、日産自動車と自動運転車両を活用した新たな交通サービスプラットフォームを開発することを発表。ロボットタクシーの事業に関して、両社の対応に温度差があることがうかがえる。