2015年4月7日、8日に開催された「新経済サミット2015」の初日に、「ロボットが変える未来」と題するパネルセッションが行われた(写真1)。ロボット導入によって人間の仕事が奪われるのではないかといった懸念や、日本のロボット産業における長所や課題などについて議論が交わされた。
このセッションでパネリストとして登壇したのは、日米ロボットベンチャー企業のCEO(最高経営責任者)。シリコンバレーにある米グラビットのチャーリー・ダンチョン氏と、アイスペースの袴田武史氏だ(写真2)。モデレーターはクラウドソーシング事業を手掛けるランサーズの秋好陽介CEOが務めた。
グラビットは静電気を利用して、布など人間の手でなければ持ち運びが困難だった物体を運べる装置「グリッパー」を開発した(写真3)。ダンチョン氏はグリッパーの活用例として、膨大な注文が入るeコマース事業で注文商品の箱詰めの自動化で好評を得ていると語った。立体物の運搬も可能で、無人飛行機「ドローン」を使って商品が入った箱を搬送するといった応用例も紹介した。
アイスペースは月面無人探査機(ローバー)開発を手掛けており、米グーグルがスポンサーとなっている月面無人探査を競う国際的なコンテスト「Google Lunar XPRIZE」に参加している(写真4)。同社が率いるチーム「HAKUTO」は、世界18チーム中5チームが受賞した中間賞「Milestone Prize」に、日本から唯一選ばれた(関連記事:Googleの宇宙開発コンテスト、日本のHAKUTOチームが中間賞を獲得)。2016年末までに米国の宇宙開発ベンチャーと組んで、ロケットを打ち上げるという。
ダンチョン氏はロボットが変える未来について、産業ロボットの観点から以下のように述べた。「ロボットは生産性を向上させるツールの一つ。導入によって製品コストの低下や生活の質の向上が期待できる」。