ドローンの商用利用がこの2~3年で急速に進んでいる。災害調査、設備点検、警備や監視が主な目的だ。

 「ドローンとは、コンピュータ制御で自律飛行する、無人の航空機のことだ」。こう語るのは、20年以上にわたってドローンの研究を進めてきた千葉大学 特別教授の野波健蔵氏。ドローンは、飛行中に周囲の様子をセンサーやカメラで認識しながら飛行したり、吹いている風の強さを検知して姿勢制御したりできる。「空を飛ぶためのコンピュータ技術が集約されている。まさに空飛ぶコンピュータだ」(野波教授)。

 海外では、SFのような世界がドローンによって現実になりつつある。米アマゾンは2013年12月、宅配サービスにドローンを利用する計画を発表し、配送システムを開発中だ(関連記事:Amazon.com、米国外でのドローン配送サービス開始を示唆写真1)。米フェイスブックは、通信基地局の機能を搭載するドローンを使って、インターネット利用可能な地域を広げる取り組みを発表している。

写真1●米アマゾンが開発する配送システムでは、ドローンが荷物を運ぶ。動画は、同社のWebサイトで公開されたイメージ
写真1●米アマゾンが開発する配送システムでは、ドローンが荷物を運ぶ。動画は、同社のWebサイトで公開されたイメージ
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 国内でもドローン商用化の動きは加速している。コマツは建設現場の測量用に、茨城県は不法投棄を監視するためにドローンを導入。警視庁もドローンを使った新しい警備方法を検討している。本特集では、ドローンを実際に商用化する企業の事例を中心に、ドローンの最新事情を紹介する。