第4回までに見てきたように、具体的な手法は九つある。だがそれぞれ目的が異なる上に、難易度もバラバラだ。 手法の特徴を正しく理解し、適切な選択がカギを握る。

 モダナイゼーションを進める動機によって、改修対象のスコープ、手段、難易度、コストが大きく異なる。モダナイゼーションを検討する際に最初に考えるべきことは「なぜ手を入れなければならないのか」だ。

内的要因と外的要因がある

 モダナイゼーションの動機は、内的要因と外的要因の大きく二つに分かれる。内的要因とは、現状のシステムが何らかの限界に達しており、手を入れなければ継続して利用するのが難しくなる要因だ。

 例えば、社員数や契約数の増加によるシステムがキャパシティー不足になるといった非機能面からの限界がある。あるいは、新分野の商品追加やコンプライアンス強化のためのワークフロー追加、業務プロセスを見直すといった機能面の動機もある。これら内的要因は、社内の事業方針や業務部門からの要望がきっかけとなるケースが多い。

 一方の外的要因とは、現状のシステムのままでも継続して利用できるが、外部の何らかの制約によってシステムに手を入れざるを得ない要因を指す。

 外的要因で圧倒的に多いのは、サポート終了、いわゆる保守切れだ。実際、保守切れの範囲は多岐にわたる。ハードウエアやOS、DBやAPサーバーといったミドルウエア、フレームワーク、ライブラリー、開発環境といったシステムのあらゆる構成要素で保守切れは発生する。外的要因はベンダーからの通知を契機にIT部門が起案するケースが多い。

 筆者の経験では、保守切れに代表される後者の外的要因によるシステム改修プロジェクトが圧倒的に多く見受けられる。また、混乱に陥るプロジェクトも後者に多い。