具体的にモダナイゼーションは、どのように実践すればよいのか。第2回と第3回では、第一線の現場の実践テクニックを取り上げる。各手法にはそれぞれ難しさがあり、現場の工夫が必要だ。

 第1回で見てきたように、モダナイゼーションには大きく九つの手法がある。ただし、モダナイゼーションの手法に明確な定義はない。

 例えばモダナイゼーションを2008年頃から標榜している日本IBMでは、リビルド、リライト、リホスト、リエンジニアリング(リファクターに相当)の四つをモダナイゼーションと定義している。日本ヒューレット・パッカード(HP)では、リラーン、リファクター、リホスト、リインタフェース、リプレース、リアーキテクト(リビルドまたはリライトに相当)、リタイア(システムの廃止)を「モダナイゼーションの七つのRe」と呼んでいる。

 そこで本誌では、モダナイゼーションにおける手法を独自に定義した。その結果が、九つのモダナイゼーション手法である。多くのIT現場への取材をベースに整理したものだ。

手法にはそれぞれ難しさがある

 図1に、九つの手法の概要を示す。まずは、各手法の特徴について説明しよう。

図1●モダナイゼーションにおける各手法の概要
図1●モダナイゼーションにおける各手法の概要
リビルドとリプレースは、いわゆる再構築プロジェクト。リラーン、リドキュメント、リファクターは、モダナイゼー ションの準備といえる
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