NTTとJTBが福岡市とその周辺で実施している訪日外国人向けの観光サービスの実証実験「地域活性化トライアル」(福岡トライアル)の全貌を解説する本特集。第2回は、ユーザーがスマートフォンやタブレットにダウンロードして使う専用アプリケーション「J Guidest Fukuoka」を解説する。

 「無料のWi-Fi接続機能を内蔵した観光アプリ」――。J Guidest Fukuokaの開発に携わったNTTアド グローバルビジネス推進局アライアンス部の及川宗之担当部長は、同アプリのコンセプトをこう説明する。NTTブロードバンドプラットフォームが提供する「Japan Connected-free Wi-Fi」を使ったWi-Fi接続の上位レイヤーに、JTBグループが提供する観光コンテンツを一体化させている。

写真1●J Guidest Fukuokaの開発に携わったNTTアド グローバルビジネス推進局アライアンス部の及川宗之担当部長
写真1●J Guidest Fukuokaの開発に携わったNTTアド グローバルビジネス推進局アライアンス部の及川宗之担当部長
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無線LANと観光ガイドが一体化したアプリ

 国内で提供している観光コンテンツは、自治体などが観光案内の一環で作るものと「食べログ」など口コミを中心としたものに大別できる。前者はユーザーを呼び寄せる集客面で苦労することが多く、後者は日本人向けに作った情報を翻訳して訪日客に見せるという、いわば日本人目線での提供になりがちという課題を抱えている。こうした事情から、居住する国や地域、年齢などの属性で消費行動が全く異なる訪日客に浸透した観光サービスは、これまでほとんどなかった。

 J Guidest Fukuokaは、まず訪日観光客の多くが使うであろうWi-Fi接続機能を備えることで、福岡を訪れる観光客にアプリそのもののインストールを促していく。さらにそのアプリで提供するのは、「日本ならではの、正しい、信頼性の高い観光コンテンツ」(及川部長)。旅行アプリとしてグローバルに浸透している「TripAdvisor」が口コミ情報を中心としているのに対し、J Guidest Fukuokaは提供側で責任を持ってメンテナンスをかけた旅行情報を提供する。