日本政府の行政業務を担う情報システムを新しく作り直す大型プロジェクトが、相次ぎ動き始めた。
かつて刷新に失敗した特許庁システム、制度改正まで刷新を見合わせていた年金システムが、改めてシステム再構築に挑戦する。いずれも数百億円規模のプロジェクトになる見通し。刷新で運用保守コストを引き下げると共に、国民向けサービスの質を引き上げる考えだ。
今度こそ、政府システムの刷新は成功するのか。新プロジェクトを検証する。
日本政府の行政業務を担う情報システムを新しく作り直す大型プロジェクトが、相次ぎ動き始めた。
かつて刷新に失敗した特許庁システム、制度改正まで刷新を見合わせていた年金システムが、改めてシステム再構築に挑戦する。いずれも数百億円規模のプロジェクトになる見通し。刷新で運用保守コストを引き下げると共に、国民向けサービスの質を引き上げる考えだ。
今度こそ、政府システムの刷新は成功するのか。新プロジェクトを検証する。
「政府のIT投資が見える、分かる」。こんなキャッチフレーズで、政府情報システムに関わる様々な情報をビジュアルに見せているのが、内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室が公開している「ITダッシュボード」である。IT総合戦略室 参事官補佐の大西一禎氏は「とにかく、国民に分かりやすく、我々の活動を見て…
2007年以来、事実上停滞していた年金記録管理システムの刷新プロジェクトが再始動する。厚生労働省は、個人番号(マイナンバー)管理を含めた基盤システムの設計、開発、構築を先行して進めるとともに、刷新の本丸となる業務アプリケーション開発の入札に向けて準備を進めている。
8年がかりの基幹系システム刷新に挑む特許庁。2014年7月に特許庁長官に就任した伊藤仁氏に、新たに業務システムを作り直すことの意義、プロジェクト完遂に必要な組織体制について聞いた。
連載第2回では前回に引き続き、過去の失敗プロジェクトの反省に立った、特許庁の新たなシステム刷新体制を検証する。過去プロジェクトと異なる3番目の特徴は、スケジュールやアーキテクチャーを工夫して、システム開発の難易度を引き下げたことである。
特許庁のシステム刷新プロジェクトが中止に追い込まれてから、3年。同庁は、失敗の事後処理と並行して、システム刷新の再開に向けて粛々と準備を整えていた。過去の失敗を分析し、新たな計画に反映していった。同じ間違いは2度と繰り返さない覚悟で、システム刷新に再挑戦する。