「欧州SAPのERP(統合基幹業務システム)を専用クラウドサービスで稼働させたが、開発時は先行ユーザーがなく手探りが続いた」。
こう話すのは、住友重機械工業 企画本部情報戦略グループの土居砂登志部長だ。同社はSAPのERP「Business Suite powered by SAP HANA」(Suite on HANA)で、会計システムと生産管理系システムの刷新を進めている。
第一弾として2015年4月に、国内の過半の13拠点に新会計システムを導入したが、このシステムのインフラとして、SAPのクラウドサービス「HANA Enterprise Cloud(HEC)」を採用した。プロジェクト開始当時、HECの先行事例はなかったという。
HECの初期ユーザーとして、特有の不便さに悩まされたが、工夫によって計画通りにシステムを開発した。
インメモリーDBのHANAを採用
住友重機械工業は、産業機械の駆動部品や極低温冷凍機などを主力製品とし、アジア、オセアニア、北米、中南米、欧州などグローバルに事業を展開する。海外売上高比率は5割を超える。
SAPの導入プロジェクトをけん引する、土居部長は「できるだけシステムをグローバルで統一し、業務効率の向上やコスト低減につなげる」と話す。
新会計システムについては現在、国内の残り8拠点向けと海外拠点向けの開発・展開を進めている(図1)。並行して、部品調達を含む生産管理系システムを開発中だ。2017年3月までに精密機器事業部に試験導入し、結果を基にグローバル展開を検討する。