「これまで、じわじわとデータを蓄積してきた。今まさに、それを基にした“攻め”を始めている」。こう語るのは、資生堂 日本事業本部 デジタル事業部 企画室長の徳丸健太郎氏。「総合美容サービス」として顧客向けに提供するWebサイト「ワタシプラス」を舞台に、新たなマーケティング施策を展開している。2015年8月には、メッセージングサービス「LINE」を活用した新たな取り組みも始めた。

 資生堂は従来、全国各地の店舗を強力な販売チャネルに据えてきた。2012年4月からは、ワタシプラスを公開しネット販売にも参入した。

 「今や、商品を実店舗のみ、またはWebのみでしか購入しない人は少ない」(徳丸氏)。実店舗とWebの両方の消費行動を把握しなければ、適切なマーケティングができない。

 同社は数年来、実店舗とワタシプラスを通じたデータ収集/蓄積を続けてきた。これを武器に、顧客の好みや消費特性を導き出し、一人ひとりに合わせた商品を提案する取り組みを始めたところだ。メールやLINEといった複数の伝達手段を顧客に応じて使い分けることで、確実にメッセージを届ける工夫も開始した。

 作業の手間やシステム負荷は、二つのクラウドサービスを活用して軽減している。メッセージ送信を自動化する「Salesforce Marketing Cloud」と、インフラ強化のための「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)」だ(図1)。

図1 「ワタシプラス」のマーケティングを支えるシステム概要
二つのクラウドを使ってマーケティングを強化
図1 「ワタシプラス」のマーケティングを支えるシステム概要
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]