「消費者が本当に知りたがっているのは頭上の雲行きがどう変わるのかだ。こうしたピンポイントで正確な気象予測は、従来の天気予報の仕組みでは対応できなかった」―。

 民間気象情報会社のウェザーニューズの西祐一郎iCornerグループリーダーはこう話す。近年、ゲリラ豪雨や豪雪など突発的な異常気象が増えており、防災・減災の観点からもリアルタイムできめ細かい気象予測が年々重要になっている。同社が取り組んでいるのが、予測の源になる様々な気象情報を収集・処理するためのIT(情報技術)基盤の強化だ。

 具体的な強化策は二つある。一つは気象予測の起点となる観測場所の密度を高め、かつカバーエリアを拡げること。気象庁などの公的機関や他の気象情報会社から入手する観測データに加えて、自社でセンサーやレーダーを開発し全国からデータを収集している。

 通常の天気予報では、数キロメートルから数十キロメートルの範囲を予報対象とする。同社の場合は、最小で消費者の周囲数メートル程度の気象を把握し予報に役立てている。取り組みを地球規模で拡大するため、2015年夏から海外企業との業務提携や事業買収を加速させた。

 データを大量に集めても、社内の気象予報士が自由自在に活用できなければ予測の役に立たない。同社は2015 年末から複数のサーバーで処理する分散データベースシステムを順次導入し、応答速度を高めた。これが二つめの施策だ。