「要件定義の期間が4 割程度減った」。企業情報大手、東京商工リサーチの秋山光男システム本部本部長は、システム部員のスキル向上策の成果をこう話す。

 7年前の2009年、同社のシステム部門であるシステム本部は「システムを速く開発するスキルを、長年のアウトソーシングによって失っていた」(秋山氏)。この状況を改善しようと、8年がかりで戦略的な取り組みを進めている(図1)。

図1 東京商工リサーチのシステム部門強化
アウトソーシングで失った開発の速さを取り戻す
図1 東京商工リサーチのシステム部門強化
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 当初の2年間は、利用部門へのヒアリング手法などの強化に取り組み、システム部員の要件定義力を底上げした。さらに、プロジェクトでの実践を通して、要件定義力の向上を部員に実感させ、自信を持たせた。

 2013年からは、システム基盤や開発手法の標準化に乗り出している。プログラムを自動生成する超高速開発ツールを採用し、部員によって書き方がバラバラだった設計とプログラムの内容の標準化を狙った。

 既に成果は出ている。同社は2015年4月から、約275万社の企業情報を管理する基幹システムである「CEDBS(Consolidated Enterprise Database System)」の再構築を進めている。途中経過だが、「以前なら1年かかった350画面の要件定義を、7カ月で終えた」(秋山氏)。要件に対する合意をスムーズに固められるようになり、利用部門からの評価も高まったという。稼働は2017年末を見込む。