日本旅行は修学旅行を一元的に管理できるWebシステムを開発した。営業担当者が学校から寄せられる要望を次々と盛り込んだ。安全管理機能などが好評で、学校向け旅行の受注は前年比15%増。システムを発展させ、ビジネスモデルの転換も視野に入れる。

 日本旅行は小中学高校の修学旅行などを対象に、事前準備から催行、事後学習までをサポートするシステムを開発した。学校は教員の旅行準備から生徒の事前学習、スマートフォンのアプリで旅行中の安全確保、保護者への連絡もできる。

 修学旅行などの学校向けは、企業の慰安旅行が減る中、団体旅行の重要な商品とされる。一部の自治体は保護者が負担する費用に上限を設けていて、しかも少子化の影響で市場規模は縮小傾向にある。これまでは独自のコンテンツで他社と差異化を図り、学校関係者と信頼関係を築き上げていく営業スタイルが求められてきたという。

 日本旅行は2014年9月、営業担当者が培ったノウハウを基に学び旅行総合管理ナビゲーションシステム「E2なび(いーなび)」を開発した(図1)。クラウドや専用Webサイト、スマートフォンアプリを活用して、修学旅行の事前準備や安全確保などを手助けする。

図1●E<sub>2</sub>なび(いーなび)の初期画面と地図画面
図1●E2なび(いーなび)の初期画面と地図画面
教員が設定した範囲に応じて生徒が自由に行程を作れる
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 このシステムによって日本旅行は、コンテンツの差異化だけでなく、「学校の負担を軽減できる」ことを前面に出す営業活動を始めた。学校関係者の信頼を得るだけでなく、システムを使って修学旅行に関して学校が抱える課題や悩みを解消していくというビジネスモデルへの転換を目指す。