MS&ADインシュアランス グループ ホールディングスの生命保険子会社である三井住友海上プライマリー生命保険は2015年7月末、住所の更新、受取人の変更、保障内容の見直しといった、保険契約の変更手続きに用いる新業務システムを稼働させた。

 同社は、保有契約高4兆4000億円の中堅生保。新システムでは、これまで一部の事務プロセス管理に使っていたBRMS(ビジネスルール管理システム)の役割を大幅に拡張。部門横断の事務プロセスや、手続き書類の妥当性をチェックする基準(ビジネスルール)を一元管理し、業務を効率化した(図1)。構築費用は本誌推定で10億円前後だ。

図1 三井住友海上プライマリー生命が機能拡張したBRMSの役割
手続きの妥当性を判定するルールをBRMSで一元管理
図1 三井住友海上プライマリー生命が機能拡張したBRMSの役割
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データチェックの事務を15%削減

 生命保険の契約内容を変更する手続きには、保険商品ごとに「~の変更手続きには、免許証のコピーでなく住民票を求める」「年金の受取額が年額○○円を超える場合は△△の書類を求める」といった複雑なルールがある。

 これまで、ルールに基づく手続きの妥当性チェックは契約サービス部が一手に担っていた。顧客窓口となるコンタクトセンター部は顧客からの契約変更の要望を聞き取り、内容を紙で契約サービス部にそのまま伝えていた。

 新システムでは、チェック業務の一部を、コンタクトセンター部が担えるようにしている。例えば、オペレーターが顧客の変更要望をコンタクトセンターの端末に打ち込むと、BRMSに登録したビジネスルールに基づくガイダンスが自動表示される。経験の浅いオペレーターでも、顧客に「源泉徴収票を取得しておいてください」などと必要な手続きを正確に伝達できる。

 比較的簡易な12種類の変更手続きについては、オペレーターが入力した変更データを、契約管理システムに自動反映する。これは、全体の手続き件数の約半数に当たる。

 BRMSがルールに基づいてデータの妥当性をチェックするので、契約サービス部によるチェックのプロセスを省けた。新システムの稼働により、妥当性のチェックに関わる事務を15%削減できたという。