約240社・団体から約86万人分の給与計算業務を請け負うペイロールは、給与計算サービスを提供する基幹システムの刷新に取り組んでいる。新システムの目玉は、顧客に代わってマイナンバーの収集や管理といった関連業務を一手に引き受ける「マイナンバー管理サービス」だ。2015年11月に開始する(図1)。

図1 給与計算受託の基幹システムを刷新した概要
マイナンバー専用BPOセンターを開設し、「マイナンバー管理サービス」から新システムを稼働
図1 給与計算受託の基幹システムを刷新した概要
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 マイナンバーの管理体制を整える目的で、関連BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を担う拠点を増設。2015年10月13日に、北海道江別市に道内で2拠点目となるBPOセンターを立ち上げた。

 経営戦略本部情報システム部の益田美貴部長執行役員は東京本社で開所式完了の報を受けて、部下にこう声を掛けた。「本稼働は目の前だ。気を抜かずに仕上げよう」。

15年間使えるシステム目指す

 ペイロールは1997年に給与計算受託サービスを始め、1999年に社業を同サービスに特化させた。現在、総額数十億円(本誌推定)を投じ、基幹系システムを刷新している。11月のマイナンバー管理サービスの開始後は、2016年4月から2018年3月にかけ、240社・団体分のアプリケーションとデータを現行システムから順次移行していく計画だ。

 新システム「P3」の開発コンセプトを益田部長は「15年間使えること」と話す。具体的には、顧客の給与やマイナンバーの情報を預かるレベルのセキュリティを保ちながら、アプリケーションやミドルウエアを柔軟に変更できるシステムを目指している。

 現行システム「SEP2000」は15年前の2000年に稼働した。新システムは「最低でも同じ期間は動いてほしい」と益田部長は話すが、SEP2000に機能面で問題があって刷新するわけではないという。