住信SBIネット銀行は2015年2月に新たな外貨預金取引システムの稼働を開始した。それまで同行は外部の専門業者が保有するシステムに外貨の売買を委託していた。委託先企業が事業の縮小を決めたため、システムを内製化する体制移行に踏み切った(図1)。

図1 外部委託だった外貨預金取引を内製化
運用手順見直しやサーバーを更改、回線コストも数千万円以上圧縮
図1 外部委託だった外貨預金取引を内製化
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 プロジェクトは単なる内製化にとどまらず、新たな運用体制も同時に築いていく大がかりなものになった。プロジェクトチームを率いた木村美礼・住信SBIネット銀行執行役員は「データセンターも順次移行することに時間をかけた」と振り返る。

 外貨預金取引システムは、法人や個人の顧客向けに24時間365日、外国為替レートの値動きを配信しながら、外貨の購入や売却の注文を受け付け、為替レートと発注価格が合致した場合に約定処理を行う。住信SBIネット銀が取引先の金融機関に外貨の購入や売却をする際の約定処理も担う。

 外貨預金取引システムは、銀行全体の会計勘定の処理を行う勘定系システムや、インターネット専業銀行の生命線であるWeb系システムとも連携する。さらには銀行自らが抱える為替変動リスクを抑えるためのヘッジ取引にも関わるので、市場の動向に機敏に対応できなければならない。「シンプルだが、クリティカルなシステム」(木村執行役員)という。