IoTが注目を集め、ここ数年でメガネや腕時計・腕輪型のウエアラブルデバイスが多数登場した背景には、半導体技術の進化があります。インテルのCPUで比較すると、1997年に登場した「Pentium II(ペンティアム ツー)」と、2014年に発売されたEdisonでは大きく違います(図5-1)。Pentium IIはCPU単体を巨大なカセット状のケースに収めていました。それがEdisonだとわずか100円玉サイズの中に、デュアルコアのCPUとメモリー、ストレージ、Wi-Fi、Bluetoothといったコンピュータを構成するすべてが収まっています。
消費電力も、Pentium IIは30Wなのに対して、Edisonは無線を利用しない場合だと13mW、Wi-Fiを利用しているときでさえ35mW(Bluetoothを利用する場合は21.5mW)と、Pentium IIの実に857分の1の消費電力となっています。驚異的な進化です。
それでも問題となるのはコンピュータを動かすための電力供給です。有線で電力を供給できれば楽ですが、ウエアラブルデバイスのようなモバイル利用の場合は難しい選択を迫られます。
コンピュータの小型化、高性能化に比べて、バッテリーの小型化・大容量化の速度はゆっくりです。例えばGoogle Glassに搭載されているリチウムポリマー電池は570mAh程。Wi-Fiで通信しながら利用すると、30分程度で空になってしまいます。
バッテリーの容量はその容積によってほぼ決まるため、デバイスの連続稼働時間を高めるとデバイス自体のサイズが大きくなってしまいます。これはモバイル性やデザイン、デバイスとしての用途と反する可能性があります。
将来的には全固体電池のような、密度が高く安全なバッテリーが登場すると期待されています。