最近はIoT(アイオーティー、Internet of Things)という言葉をよく目にするようになりました。直訳すると「物(モノ)のインターネット」となりますが、ちょっとピンと来ないですよね。要は身の回りの「モノ」がインターネットに接続し始めた、昨今の情勢を表した言葉です。その本質は「モノを介したインターネットサービス」です。そのために使うインターネットに接続するモノのことをIoTデバイスなどと呼びます。具体的には、通信機能とデータ処理用のCPUを備えたデジタル機器を指します。
IoTデバイスは増大の一途をたどっています。東京オリンピックが開催される2020年には、500億を超えるIoTデバイスがインターネットに接続されると予測されています(図1-1)。つまりその頃には、身の回りにある多くのモノがネットワークにつながっている状態になるわけです。
このIoTを支えるのは、半導体の超小型・軽量化と無線通信の広帯域化といった技術です。これにより、「どこでもネットワークが使える」点が大きいのです。
例えばインターネットに接続するモノの大きさを考えてみましょう。少し昔は、デスクトップパソコンやノートパソコンのように、腰を落ち着けて使うデバイスしかありませんでした。それがタブレット端末やスマートフォンに変わりました。今後、ウエアラブルデバイスへと進化するでしょう。
またネットワーク技術も発展しています。無線LAN規格はIEEE 802.11の2Mビット/秒から始まりましたが、最新の802.11acでは最大6.9Gビット/秒にまで到達しました。一方でBluetoothやZigBeeのような、近距離でかつ消費電力を抑えて通信する規格も登場しており、IoTデバイスはこうした通信技術を組み合わせて利用します。