最近はIoT(アイオーティー、Internet of Things)という言葉をよく目にするようになりました。直訳すると「物(モノ)のインターネット」となりますが、ちょっとピンと来ないですよね。要は身の回りの「モノ」がインターネットに接続し始めた、昨今の情勢を表した言葉です。その本質は「モノを介したインターネットサービス」です。そのために使うインターネットに接続するモノのことをIoTデバイスなどと呼びます。具体的には、通信機能とデータ処理用のCPUを備えたデジタル機器を指します。

 IoTデバイスは増大の一途をたどっています。東京オリンピックが開催される2020年には、500億を超えるIoTデバイスがインターネットに接続されると予測されています(図1-1)。つまりその頃には、身の回りにある多くのモノがネットワークにつながっている状態になるわけです。

図1-1●インターネットに接続する機器の数と1人当たりのデバイス数
図1-1●インターネットに接続する機器の数と1人当たりのデバイス数
インターネットにつながる機器の数は、飛躍的に増加する見込みだ。既にパソコンを中心とした固定された機器で接続する時代から、スマートフォンを中心としたモバイル機器接続の時代で大きく台数が伸びている。これがさらにモノがインターネットにつながることによって、指数関数的に増大していく。台数は2012年にシスコシステムズが発表したデータに基づく。
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 このIoTを支えるのは、半導体の超小型・軽量化と無線通信の広帯域化といった技術です。これにより、「どこでもネットワークが使える」点が大きいのです。

 例えばインターネットに接続するモノの大きさを考えてみましょう。少し昔は、デスクトップパソコンやノートパソコンのように、腰を落ち着けて使うデバイスしかありませんでした。それがタブレット端末やスマートフォンに変わりました。今後、ウエアラブルデバイスへと進化するでしょう。

 またネットワーク技術も発展しています。無線LAN規格はIEEE 802.11の2Mビット/秒から始まりましたが、最新の802.11acでは最大6.9Gビット/秒にまで到達しました。一方でBluetoothZigBeeのような、近距離でかつ消費電力を抑えて通信する規格も登場しており、IoTデバイスはこうした通信技術を組み合わせて利用します。